朝霧ジャム - イッツ・ア・ビューティフル・デイ @ 朝霧アリーナ (7th to 8th Oct '06)
- クール・ワイズ・メン - スカで酔いどれ、千鳥足は踊る
2日目の大陽が照りつける時間帯、片手に酒瓶を忍ばせたオーディエンスが待つのはクールワイズメン。そのルックスと立ち振る舞い、スカからダンスホールまで裏打ちジャマイカの歴史を見事に取り込んでいるため、一見若いバンドかと思われがちだが、実際は10年以上のキャリアを誇る実力者達だ。とりわけ、メンバー自身が飛躍的に成長したと自覚し、周囲の懸念をすっ飛ばした今年3月のリコ・ロドリゲスのツアーは、リコが各メンバーのソロをしきりに要求し、微笑んでは頷いていたことからも、信頼を勝ち得ていたと言える。ベースの篠田智仁への眼差しなんて、「またねだられてるよ」とこちらが思わずニヤリとしてしまうような教育というか、かわいがりようだった。フジではああみえて実は完全主義者であるギャズ・メイオールの前でライブをした事がないという理由から、再び一緒に演奏することはできなかったけれど、盟友のルードプレッシャーズへノウハウを教え、パレスオブワンダー2日目の陰の立役者となったと聞いている。正直、惜しかった。
自然と相対する格好の舞台で、スカが響けば例外無くこの上ない至福が訪れるという朝霧ジャムのムーンシャインステージ。そこで見ず知らずのオーディエンスもろとも、スカもダブもひとまとめにした独特なリディムで難なくダンスに興じさせたCWMは、結果としてまたまた名を挙げた。彼ら自身はまるでそんなことを思ってはいないようだけれど、山の曲線をなぞるような組み立てを作り、一体とする力を持っている。"セント・トーマス"のリフも組み込みつつ、上下に揺れて放射されるリディムが広大な芝生を持ち上げて、遊ぼう、がんじがらめの俗世を忘れようなどという気負いも特に無く、ついついつられてしまうように、彼らの生み出す弾みがリミッターを優しく外していく。
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それでいて、トランペットをマイルス・デイヴィスの角度と同じ、うつむき加減で吹く浜田光風はゆらゆらとしきりに体を揺らしながら、時折鋭い眼で山の影を追う。ゆるい中にどこかシャープなたたずまいを漂わせていることが若さを感じさせる由縁だったりするのだろう。パンピンピアノにも通じるキーボードが跳ね、ジャマイカに根ざしつつ様々なアクセントを取り込む貪欲さも持ち合わせていて、ルーツへのこだわりをしっかりと見せながらもさらに広がり続ける世界もまたおもしろい。
リコとのツアーがあって、フジでリコが再び来日した。おかげで朝霧でのCWM待望論がわき起こったと思えるのは考えすぎだろうか。田舎にいた時はまったくそんなことは考えていなかった。出来過ぎなまでの流れは、CWM自身が意図せずに、自然と呼び寄せたということなのだろう。
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Asagiri Jam : It's a beautiful day - intro - (JAP / ENG)
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