朝霧ジャム - イッツ・ア・ビューティフル・デイ @ 朝霧アリーナ (7th to 8th Oct '06)
- ザ・ポーグス - 呑んで呑まれて、酒と涙と男と女
ポーグス直前の転換時にはソウル・フラワー・ユニオンなどチンドンや祭り囃子を取り込んだ楽曲が流れ、ギネスの国との共通項をみつけたオーディエンスは、隣近所の名も知らぬ友人達と酒を分け合ってはひと盛り上がり。それでも視界の端ではしっかりとステージを捉えている。クラッシュの"ストレイト・トゥ・ヘル"が鳴り響けば、ダミ声から黄色い声、はては感極まった活字にできない絶叫まで、実に様々な歓声が入り交じっては、紳士な出で立ちで揃えたメンバーを荒々しく出迎える。煙るステージにひとり遅れて登場した「アイルランド=酒びたり」という印象を遥か日本のやんちゃ坊主にすんなり植え付けた張本人シェイン・マゴゥワンが登場すると、ステージ前は半狂乱。とうにできあがり、ろれつが回らず何を言っているかわからなくとも、純粋すぎる彼を視界に捉えれば自然と笑みがこぼれてくる。
"ストリーム・オブ・ウイスキー"で幕を開けた演奏はマンドリンにバンジョーをはじめ、様々な色彩を放つ楽器の群れが一斉に走りだして、よろめく千鳥足ヴォーカルが1テンポ遅れては「追いかけて」いく。去年よりもさらにグズついたシェインの様子にやんわり笑みを浮かべたオーディエンスはというと、自らもヴォーカルをとっては憎めない彼を引っぱりあげ、支えていく。その叫びには親しみやら喜びやらが込められていて、とてつもない一体感と幸福感がうちよせる。人気投票で選ばれたかのようなベスト選曲、そのひとつひとつに描かれた物語は朝霧アリーナの斜面へと流れ出し、まるでマストのようなテントの群れにぶつかっていく。
今年の来日は、去年皆が待ち望んだにも関わらず、演奏されなかったとある曲が演奏されたことに尽きる。女性ゲストヴォーカル(バンジョーのジム・ファイナーの娘、エラ・ファイナー)の登場に、完全に諦めていたオーディエンスは揺さぶられ、ピアノの優しい調べがそれをなだめていく。"フェアリーテイル・オブ・ニューヨーク(邦題・ニューヨークの夢)"は男女間の口論をそのまま持ち込みつつ、移民の心情をも映し出して数千の涙腺を刺激していく。この20世紀最高のクリスマスソングで泣くというサプライズが用意されていたことが、何より大きかった。もちろん最後にはお決まりの"フィエスタ"が待ち構えて、汗と涙と酒にまみれる「尻にキスする大騒ぎ」は臨界点に達して、笑みという余韻をいたるところに残して彼らは去っていた。
今年もまた、都会に尋常でない量の雨を連れてきて、山奥では降らせなかった。神様云々ではないだろうけど、前者ではほとんどのバイカーがどしゃ降りの中を突っ切ってまで愛車に乗ろうという気など起こる訳も無く、後者では大自然がその包容力でしっかりとオーディエンスさんの心を解きほぐしているが故、ポーグスを語る上で欠かせない「酒」を取り込める環境ができ上がっていた。酒はバンドそのものであり、無きゃどうにも始まらないし締まらない(緩んでいると言っても間違いではない気がするけど)。一度はシェインのアルコール依存でポーグスは崩壊したが、それでも酒を持ってフラフラして、シャツを汚すシェインがいないとイヤなんである。彼の手から酒が消え、背筋を伸ばしてメリハリのついた声を聞かせ、リズムをしっかりととらえてくれては、どうにも居心地が悪いのだ。
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Asagiri Jam : It's a beautiful day - intro - (JAP / ENG)
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