朝霧ジャム - イッツ・ア・ビューティフル・デイ - @ 朝霧アリーナ (7th to 8th Oct '06)
幸せな2日間
ボアダムスが作り出した音のカオスにまみれながら今年の朝霧も幕を閉じていった。昨年に引き続き両日とも快晴。時間によって変わる富士山の顔やら、高原の寒さやら、そしてキャンプやらと音楽以外の部分も込みのおおらかなフェスの空気が変わらずに流れていた気がする。それにしても第一回目のこのフェスは人も3,000人そこそこで凄く親密な空気があったのを覚えている。今となっては信じられないけど、演奏中のスカパラの最前まで余裕で歩いていけたんだから。だけどそんな空気をうまく残しつつ、チケットソールドアウトの人気フェスに育っているのは、この大らかな空気が担っている部分が大だろう。
今回の個人的なハイライトはやはりマイケルフランティー&スピアヘッド。本当に歌が蘇るというか、生きてくるようなパファーマンスを見せてくれた。選曲はほぼ新作「Yell Fire」から、家でCDを聞いているだけじゃわからないことをライブで再現してくれた気がする。巨大な体を揺らせてのパフォーマンスは熱気に溢れ、そのグルーブが会場全体に広がっていく。この日の会場にマイケルフランティーを知る人はどれくらいいたのだろう。開演前はまばらだったステージの前人影も、パフォーマンスが続く毎に一杯になっていく。止むことなく続くコール&レスポンス、"上を向いて歩こう"の大合唱。「I know I'm not alone」という彼のメッセージを会場ががっつり受け止めたはずだ。初めて生で見たマイケルフランティー、正直に告白すると青臭いという気もした。だけど、これだけ真直ぐに観客と向き合い、力強い音楽を奏でる姿に深い感動を覚えた。この日上へ下へ飛び跳ねた人の数だけそんな感動があったのだと思う。これぞまさにフェスの醍醐味という富士山に負けることのない力強いパファーマンスだった。
そんなマイケルフランティーの次に登場したポーグスは全くの正反対。もはやヘベレケになったシェインの何とも言えぬパフォーマンスに会場は大盛り上がり。MCも何を言っているのかイマイチ聞き取れないし、ステージ袖にはシェインの足下をライトで照らすスタッフまでいる始末。それでも、生きることの酸いも甘いも味わった男の歌声は渋く、味がある。鳴らされる名曲の数々に染み付いた匂いは決してきれいなものだけじゃないが、それでも生きなきゃいかんのだ。ステージの前は同じぐらい酔っぱらった者達のモッシュとダイブが巻き起こる。いい大人の多いこのフェスでただのキッズに戻ってしまった人が多数。あんな大人が一人いるんだから、こっちだって少しぐらいハメを外したくなってしまうもの。これこそがポーグスが愛されて止まない理由なのだ。
日本勢では2日目に登場したDachamboが最高だった。ジャルンレスな轟音と太いビートで会場を大いに沸かせ、正にお祭りにふさわしいパフォーマンスを見せてくれた。雲一つない空の下、あれだけアゲアゲな音を聞かせられたみんな黙っているはずもなく、野外で音を出す有意義な意味を体にしみ込ませられたのではないだろうか。また、ラストのボアダムスも会場に大きな歓声をあげさせていた。EYEが操るオブジェのような7本のギター(で一つの楽器。初めて見ました。)をスティックで叩き出すリフとドラムスとの絡み合いは圧巻。最初の「ボアダ〜〜〜〜ムス!!」って叫びだけでもう昇天しそうだったのに。
今年はアーティストのラインナップがいつになくマイフェイバリットが多く、初めてじゃないかっていうぐらいステージに足を向けた朝霧ジャムだった。ステージの数が多くなく、アトラクションのも皆無なので、実はフジなんかよりライブを見ることに集中出来るというのは新しい発見だった。まあ、逆に考えるとお客さんが自分たちで考えてアトラクションを作っているんだとも言えるのかも知れない。確かにあそこで肉焼いて酒飲んでってのはもの凄く贅沢な体験ではある。フジロックほど商業的な匂いもせず、たくさんの地域の方のボランティアに支えられたこのお祭り。本当の理想郷に近づいているのかもしれない。更に進化させるのがいいのかどうかというのは賛否両論ありそうだが、願わくば今年改めて味わったようなおおらかな空気をそのままでいて欲しい。疲れた体がとても心地よい本当にHAPPYな2日間だった。 |
report by sakamoto and photos by hanasan, yoshiki & terumi
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Asagiri Jam : It's a beautiful day - intro - (JAP / ENG)
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