Smashing Mag / Morning of all ＋ Kim Jang Hoon in SsamZie Sound Festival @ Olympic Park (30th Sept '06)

　フェスティヴァルも終わりに近づき、片方のステージでブレイク・ダンスを見せるモーニング・オヴ・オールというグループがアクロバティックな踊りを見せてくれていたのだが、その一方でボランティアの人たちが会場の清掃に入っていた。どこでも同じなんだなぁと思う。おそらく、コスト的にもかなりかかっているだろう、こういったフェスティヴァルを運営するにはさまざまな人たちの協力が必要になってくるのだ。

　しかも、このフェスティヴァルは数年までフリー、すなわち無料で開かれていたんだとか。サムジーという会社は、確か、ある種のブランドだったように思うのだが、同時に、レーベルを運営し、アート・スペースやライブハウスも持っている。日本で言えば、パルコのような感覚に近いように思うんだが、まだまだマイナーなロックやインディ・シーンの動きをこういった形でサポートしているといったところだろう。

　モーニング・オヴ・オールが終わって、反対側のステージに登場した最後のアーティストがキム・ジャンフン。面白いのはその翌日、テレビのコマーシャルかなにかに彼が出ていた。日本的にいえば、この人は、おそらく、「芸能人」なんだろうなぁと思う。なんでも音楽だけでは食えないから、こういったこともやっているんだという話を韓国の友人から聞いた。っても、こういった人たちが登場することになにも違和感を感じさせないのが韓国なんだろう。

　わずか1日で数々のバンドやアーティストが登場し、ふたつのステージを使うことで、こちらとしては休憩する暇もなくヴァラエティに富んだ音楽を体験することになった。ユニークなバンドもいれば、どこかで聞いたような音楽を演奏するバンドもいる。まるで歌謡曲のようなものもあれば、とんがったロックもあったし、ソウルもファンクもあった。それがごっちゃになって同じ土俵で体験できるのが韓国の面白さのように思える。キャァ～って嬌声が聞こえる「アイドル歌謡」的な反応が出ることもあれば、パンクあたりのワイルドなモッシュやダイブが登場することもあった。それが混ざっているという奇妙な光景もあったけど、それが韓国なんだろう。このごっちゃな感覚は日本ではなかなか信じられないし、それが魅力なんだと思う。

　しかも、そこに日本のバンドを「前座」的なものとしてではなく、同じ土俵で紹介してくれたことが嬉しい。もちろん、もっともっといろんなバンドが日本にいるわけで、いろんなタイプのバンドを紹介して欲しいとは思うが、この日登場したジ・エメラルズ、ニコチン、エルレガーデンといったバンドが、おそらく、とてつもなく貴重な体験を積んだのではないだろうか。日本でも、同じように、韓国のバンドを真正面から紹介できるフェスティヴァルが出てくることを心から祈ります。