Down Beat Ruler @ Ebisu Garden Hall (3rd May '06)
Rico Rodriguez with The Ska Flames
年に2回の大騒ぎは、ずいぶんと待ちぼうけを喰らわせただけのことはあり、ありえない組み合わせだらけで、思い描いていたシナリオをはるかに凌駕するお祭りだった。アキさんが持ち場を離れて踊れば踊るほどに、盛り上がりに拍車がかかるのはここ数年のお約束。自然と笑みがこぼれてくるから楽しいのだ。
"Good Morning"で遅めの朝を迎え、聞かせるナンバー"聞こえてこないか"で大声張り上げる大合唱。ゲストを迎えるまでに、いままで終盤でとりあげることが多かったカリプソナンバー"RIP VAN WINCLE"が演奏されて、ただならぬ雰囲気が渦を巻く。
約束以上のサプライズも用意されているのがDBRで、皆それぞれのサプライズを妄想しては挑む。まず「約束」されていたのはリコの参加。彼の名前がしっかりとアナウンスされていて、しっかりとシャツにも名前がプリントされていたにも関わらず、リコのトロンボーンが泣き出せば、その迫力に言葉を失う。トロンボーンの枠では収まりきらないサウンドはまるでホルンのようで、深いところから包み込んで、身動き出来なくなるのだ。実際、その間は他の音が一切聞こえなくなり、無の状態に陥るが、それでもこのライブで最も印象に残るシーンと断言出来るのは不思議でならない。
誰もが「期待していたサプライズ」は、スカクバーノが遊びに来たことによって自然と想像出来た。3つの島国が入り乱れてのスカ祭りだ。さんざんつるんだリコとタンタンが横位置で並ぶ存在感に圧倒され、「これが今の時代に見れるのか!」とルーディーズは驚嘆を軽く飛び越えて遠い目をしている。
そして時系列では逆だが、誰も予想出来なかったのが元デタミネーションズのヴォーカル・高津直由が"Everytime I Wanna Think About You"で飛び入りしたということが何よりのサプライズ。ありえない角度で飛び込んできた吉報には、僕だけでなくみんなもかなり驚いただろう。西のオッサンが東に登場し、味のあるヴォーカルで優しくなだめられれば、涙腺はユルユルになる。引き続いて登場したのがいよいよリコだけれども、タンタンと共に慣れ親しんだ"Don Cosmic"、"Dr. Killdare"、"Soul Of Africa"(通称アフリカ)のオーセンティックスカのキラーナンバーが立て続けに演奏されて、前述した虚脱に至る。
そうこうしているうちに、メグミがバリトンサックスを引っぱり出し、すりきれそうなメロディをバップして、歌い終えた高津がコンガを軽い手つきでショットする脇で、渡辺俊美は叩いたり呑んだりして、はたまたステップを踏むギャズの手からは鯉のぼりが抜け出し、伊勢に渡る。
パーティタイムは濃密すぎて、空間を揺さぶりっ放し。アンコールを促すアナウンスをステージ上から始めるのはギャズ・メイオールその人で、"太陽"でコーラスに揺られて、"TOKYO SHOT"では足を上げたり回ったり、人差し指をフロアに向けて踊っている。さらに"I Want Never Let You Go"で最後の汗を振りまいて、いつまでも充満する熱気に引きずられている。このライブは伝説と言っても過言ではないだろう。
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report by taiki and photos by hanasan |
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