Down Beat Ruler @ Ebisu Garden Hall (3rd May '06)
Sanfernand Mento Patrol
ルンバボックスの「ボンボンボン」という響きにはまるで加工が施されていない。そこに「ワン・ツー・スリー」のカウントがピタリと合わさり、不良の匂い渦巻くDown Beat Rulerの中で、土の香りを流し込む。待ちに待ったGWに入り、溜まった緊張が解けた日の夕暮れ前だ、ゆるさとけだるさを纏った時間に見事にはまっていく。メントとチャチャチャ、カリブ海周辺諸国の突き抜けたさわやかさに流されようなどと身構えること無くニヤニヤしたオーディエンスの輪は、ルンバボックスの角がないリズムを受け取り、その隙間をぬうようにに走るギター、切れそうに細いフルートの線がストレートに伸び、緩やかにたなびくメロディと共に揺れていく。
インストでは曲自体が歌っている、ヴォーカルが入ればその歌唱にはソウルが詰まっている、となればギュウと押し込められているはずのオーディエンスも、周りに空間を作って踊りたくなる。開演から間もなくのことで、他のフロアが開放されておらず、入場した人間のほとんどがそこにいるのだ。メンパトが流し込んだスカ以前のジャマイカ音楽は、すべての者に裏打ちに魅入られた/魅入った云々を考えさせる時間など与える間もなく「純粋に田舎音楽が好きだぁ」と実感させ、惰性で揺れるダンスホールを出現させる。その中にいるのは、だらりと垂らした腕と満面の笑みの持ち主ばかり。日々の憂さ晴らしに、呑めや歌えや。とにもかくにも、スカフレイムスへのカウントダウンは、鍬打つ音のルンバボックスからゆるりと始まったのだ。
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photos by naoaki |
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