button South by Southwest Music Festival + Conference
@ Austin, Texas (15th-19th Mar '06)

SXSW 2006 レビュー

Overall View Vol.2
『SXSWで見たもの、会った人』


SXSW 2006
 SXSWという大きなイベントの話は前から聞いたことがあったけど「そんなものがあるんだなあ」くらいの遠い存在で、まさか自分が行けることになるなんて思ってもみなかった。自分がテキサスといわれて思い浮かぶことといったら「ブッシュ大統領」「サボテンとカウボーイ」くらいのレベルだもの。

 そんな状態のまま空港行って靴脱いだりベルト外したりポケットの小銭全部出させられたりしながら飛行機乗ってヨダレ垂らして爆睡してるうちすぐオースティンに着いて、ハローアメリカ合衆国!と思った次の瞬間にはもうこの土地とバイバイ!というくらいあっという間に過ぎてしまって、今頃になってようやくあの時あったことが消化できてきたかなあというような、自分にとってはもうボリュームありすぎな日々だった。

 今回、Smashing MagのスタッフとしてSXSWに参加させて、素晴らしいスタッフのみんなと一緒に仕事ができて本当によかったと思う。そんなチャンスを与えてくれた人たちに感謝するとともに、そこで経験したことや印象に残ったことを、まとまらない頭でなんとかまとめてみようと思う。

■飲むには絶対困らない場所

SXSW 2006  会場のテキサス州オースティンの人口は約68万人。練馬区の人口と同じくらいだけど、街の中心地にあるパブやライブハウスの数はたぶん練馬区の10倍くらいあるんじゃないだろうか。SXSWで50件以上の店がライブ会場として使われているのに、それでもまだ使われてない店がある。こんなに飲み屋がいっぱいあって、ふだんもそれぞれの店にちゃんとお客さんが入ってるんだろうか?
 数は多くても街自体はきちんと碁盤の目状に区画整理されているので分かりやすかった。移動も楽ちん。唯一困ったのは、SXSW期間中はどこの食べ物屋さんも夜になると満員になってしまうので、マトモに食事できる場所がほとんどなかったこと。一度入ったハンバーガー屋さんでは、注文するまでに20分、注文したものが出てくるまでにさらに20分かかった! でも出てきたハンバーガーは40分待った価値があったと思えるくらいおいしかったから、全然オッケーだったけど。

■仕事 or 遊び?

SXSW 2006  SXSWって最初は「フェスティバル」だと思っていたけど、実際のところはちょっとフェスとは違っていた。確かにSouth by Southwest Music and Media Conferenceという名前の"Conference"も「会議」とか「協議会」って意味だ。ライブだけじゃなく講演会やトークセッションもたくさん開催されていてちょっとアカデミックな雰囲気もあった。
 普通のフェスならお客さんも大学生くらいの年齢層が多いけど、SXSWは仕事絡みで来ている人が多く、やや落ち着いた感じ。もちろん業界人ばかりじゃなく地元の人もけっこう来ているし、ライブによっては暴れる人もいる。だけどダイブしてる人だけは一度も見かけなかったのは、さすがに仕事で来ててケガするわけにはいかないし、ということなのだろうか。
 仕事で来て何をしているかというのは人それぞれで一概には言えないけど、私たちのように媒体の取材だったり、レコード会社から営業に来てたり、レコード屋さんから新しいバンドの音をチェックしに来てたりと、ほんとにいろんな職業と目的の人がいた。カナダのクラブで働いているという人に「SXSWにはクラブでかけるための音楽を探しに来てるんですか」と聞くと、「それもあるけど、それよりまずは自分の楽しみのためだね。いろんな知らないバンドに出会えることが何よりも楽しい」という答えだった。おそらく、SXSWに来ている多くの人がそうなんだろう。仕事ではあるれけど、まずは自分が楽しくてやっているということ。会期中は、街中どこへ行っても音楽と笑顔があふれていた。

■アイ・ラブ・テキサス!

 SXSWには世界中から人が集まってくると同時に、地元の人もしっかり参加している。ライブで踊りまくる近所のおじさんもいれば、ギター1本持ってきて街角で演奏を始める若者もいるし、とりあえず見に来てみたんじゃよ、みたいなおじいさんもいた。フェスじゃないとはいっても地元の人にとってみればやはりお祭りなのだ。地元の人はほんとにフレンドリーで親切で、私はいっぺんにテキサス(というか、オースティンか)が大好きになってしまった。そんなわけで、現地で出会った地元の人たちにいろんなことを聞いてみた。

SXSW 2006 1. タクシーの運転手さんたち 
―このタクシーに貼ってあるNine Black Alps(SXSWにも出演していたイギリスのバンド)のステッカーですけど、これって広告ですよね?
 「ああ、これ? なんか知らないけどうちの会社が勝手に貼ったんだよな」 
―後部座席の後ろにこんな大きいシールを貼っていると、後ろが見えなくて危ないんじゃないかと思うんですが……。
 「これがちゃんと見えるようになってるんだな。見てみる?」(といって後部座席のドアを空けてくれる)
―あ、すごい。外から見ると白いステッカーだけど、中から見るとちゃんと外が透けて見えるようになってる! へえー。アメリカの広告ってやっぱスゴイな。
 「ていうかNine Black Alpsって、何?」
―…イギリスの、バンドです。

2. バンドをやってるお兄さん
 「ヘーイ、彼女たち、フライヤーもらってく?」(といってピンクのフライヤーを手渡す) 
―あ、どうも……。
 「俺BLOODSUGARってバンドやってんだけど、うちのバンドのギター日本人なんだよ! アイツはスッゲェギタリストだぜ!!」
―そうなんですか! あの、カッコイイ服ですよね。写真撮っていいですか?
 「俺?俺? おう、カッコ良く撮ってくれよな!」
―はーい。こんな感じでどうでしょう。
「クール!! やっぱ俺って最高だよな!!!」

SXSW 2006
3. 地元の大学生 (Captainというバンドのライブにて)
―ふだんは何をやってるんですか?
ジョン「僕はテキサス大学、ジョシュはヒューストンの大学に行ってる。知ってた? テキサスには日本人の学生も多いんだよ」
―これまで何回くらいSXSWに来たことがありますか?
ジョン「もう子供の頃から毎回来てるからね。数え切れないくらい!」
―オースティンのいいところは?
ジョシュ「人と音楽!」
ジョン「もう自分の庭みたいなもんだからなあ。全部だね!」

SXSW 2006
■潜入!NMEパーティー

 NMEというイギリスの音楽雑誌の主催するパーティーの招待券が現地で手に入ったのは、ほんとに偶然だった。SXSWでは昼間は町のあちこちでパーティーが開催されていて、多くの場合お酒が無料で飲めて、気前の良いところだとバーベキューが出たりもする。あと夜のライブで見られなかったバンドが昼間のパーティーで演奏していることがあるので、これがかなりオイシイ。そんなわけでNMEのパーティーに行きたいなあでも招待制だからどうしたもんかなあと考えていたところに舞い込んできたこのチケット。やった〜と小躍りして写真家のKecoさんと二人でタクシーに乗り込み、町はずれの会場へと向かう。

SXSW 2006  そこは郊外のひっそりとしたパブで、店の横手のちょっとした空き地に小さなステージが設営されていて、その向こうを1本の線路が走っている。線路の向こう側には、ひたすら草地が広がっている。こんな寂しげな場所で本当にやっているんだろうかとちょっと不安が頭をよぎる。

 しかし入り口近くまで近づいてみると、何か見覚えのある顔が。ああっあんなところにダーティ・プリティ・シングスのメンバーが! あっちにはズートンズがっっ!! ミュージシャンが普通にその辺をウロウロしている。

 中にはいるとまずビール。SXSWではテキサスの地ビールのShinerというのをよく飲んだ。喉ごしまろやかで飲みやすい。バーベキューの跡地らしきものが見えるけど、見事に肉だけがなくなっている。
 中は業界人らしき人が30人くらいいて、みんなとくに何をするでもなく、ビール飲んでライブ見て、かなりまったり過ごしている。日本から来た音楽専門チャンネルのスタッフが二人で取材をしているくらい。外に出てみると、線路の脇にぽつんとソファが置いてあって、ズートンズのメンバーが座っている。何もないところにソファ。そしてズートンズ。ミニマリズムの極致みたいな光景だった。

 そうこうしているうちにダーティ・プリティ・シングスのライブが始まる。全員サングラスから足の先まで全身黒ずくめの格好で颯爽と登場し、ひたすら無駄をそぎ落としたソリッドなステージを展開する。そのストイックな姿勢と性急さはミッシェル・ガン・エレファントを思い起こさせる。あーやっぱりカールはカッコいい。

SXSW 2006  次にステージに現れたのはフォワード・ロシア。最初はちょっと遠巻きに見ていたのだけど、ギターが鳴り始めてそれが轟音に変わった瞬間、写真家のKecoさんは「行ってくる!」とものすごい勢いでカメラを抱えてステージ前に突進して行ってしまった。でもほんとにそれくらいすごかった。鋭くハードなギターリフに切羽詰まったシャウト。ボーカルはステージから降り地べたで身もだえしながら奇声を発する。なんじゃーこのバンド。このハイテンションな壊れっぷり最高! しかし曲名が全部数字のため、何の曲をやったか全然覚えられず……。

 *各バンドのメンバーからのコメントは、次のページをご覧ください。

■NMEのパーティーで会った人

名前:Carl Barat
バンド名:Dirty Pretty Things (http://www.dirtyprettythingsband.com/)
担当:リードギターとボーカル

「今年の夏も日本に行くよ。○○○○!!」

ライブの他にも写真撮影や取材など、本当に忙しそうだったカール。某フェスの名前を連呼して、もう日本に行く気満々だった。彼らのステージが日本で見られる日もそう遠くないみたいだけど、とりあえず正式発表を待とう。

SXSW 2006
名前:Whiskas
バンド名:!Forward, Russia! (http://www.forwardrussia.com/)
担当:ギター、シャウト

「アメリカは何か変わってるよね。ヘンな感じ。お客さんも(イギリスとは)違うから最初は戸惑ったけど、一度やって盛り上がったからもう大丈夫。日本? 実はあるプロモーターから昨日電話があって。夏のフェスに声をかけてもらったんだよね。でもまだスケジュールの都合もあるから行けるかどうか分からないけど」

 こちらも、もしかすると近いうちに来日するかもしれないとのこと。早くスケジュールが決まるといいなあ。

SXSW 2006
 その後、喉の渇きを癒そうとバーに向かうとパステル調のレインボーカラーのジャケットを着こなした伊達男がいる。「虹色の服の人がいるよ!」と盛り上がっていると、それがU.S.E(ユナイテッド・ステイツ・オブ・エレクトロニカ)のフロントの人ということが判明。SXSW自体には出演してなかったけど、オースティンでいくつかパフォーマンスを行っていたらしい。日本大好きだよーと気軽に立ち話にも応じてくれて、ほんとチャーミングで紳士な人だった。

 後日NMEを見ると、他にもいろんなバンドがタダ酒に釣られて(そう書いてあった)遊びに来ていたらしい。でも、翌日某バンドのボーカルとライブ会場でばったり会ったときに「昨日はNMEのパーティーに行ってきたよ」と言ったら、「Boooo!」と顔をしかめてブーイングされてしまった。楽しかったのになあ。ま、中にはそんな反骨精神の持ち主もいるようです。

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