South by Southwest Music Festival + Conference @ Austin, Texas (15th-19th Mar '06)
SXSW 2006 レビュー
"Mystery Jets" @ Maggie Mae's (15th Mar '06)
『父子鷹ヒットエンドラン』
シンバル、カウベル、ブリキのゴミ箱のふた……たくさんの打楽器に囲まれるようにしてその真ん中にボーカルが座っている。金属製の打楽器がライトを浴びてまぶしい光を放ち、その上をスティックが跳ねるたび、鋭い打音がリズムを刻む。ボーカルがステージの中央最前で歌いながらガンガン叩きまくっているおかげで、ギターやベースよりも先にそっちの音が耳に入ってくる。物を叩いて音を出すっていうのはほんとに根源的でプリミティブなやり方で、だからこそ何もフィルターを通してないむき出しの感情がばんばん放出されているのが目に見えるようだ。奇妙で、アンバランスだけど力強いビート。ライブを見てはじめて、こんなにアグレッシブなバンドだったんだと思い知らされる。
音だけじゃなく、メンバー構成もちょっと変わっているこのバンド。キーボードやコーラスを担当しているメンバーが、なんとボーカルの父親なのだ。彼はちょいとポール・ウェラー似の素敵なロマンスグレーのオジサマで、私もこんなお父さんが欲しいわぁと思わずうっとりしてしまう。しかし彼が人をひきつけてしまうのはルックスのせいだけではなく、傍らにいるだけでステージをまとめ上げる確かな存在感というか、ハタチそこそこのバンドにはない貫禄を感じらさせるからなのだろう。
しかし落ち着いて音だけ聴いていると、最近の新しい世代のバンドにしては珍しく全然ガレージっぽくもないしメロディーもやや暗め。なのに不思議とハイパー・ポジティブな印象を受けるのは、やっぱりこの風変わりなビートのせいなんだろう。ギターと一緒になって、文字通り叩きつけるように鳴らされるその音は、暗い森を歩きつづけてあるとき突然視界が開けたときのような、あるいは重い雲の切れ間から青空が見えたときのような、スコーンと突き抜けた瞬間をたしかに体現している。
時間が押していて3曲余りの演奏はあっという間に終わってしまった。それなのに、最前列で見ていたせいかそのエネルギッシュで密度の濃いステージにあてられてしまったような気がする。あの前へ前へと駆り立てるようなビートは、突き抜けたその先の景色も見せてくれるんだろうか? 今度のフジロックでの再会が楽しみだ。
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report and photo by taeko
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