信州ロックンロール旅情
Side A - ライヴレポート編 ナイロン & フェイヴ・レイヴス @ カントリーキッチン・クルミ (26th Nov. '05)
ハコに着くまでが一苦労だった。道のりがさっぱりわからないのだ。住所番地でなんとかならないかと交番に飛び込むと、「えっ車じゃないの? この住所まで歩いて行く気? そりゃけっこう大変だよ」とお巡りさんから忠告される始末。あの土地は車社会だよ、という長野の友達の言葉がちらりと頭をよぎる。
茅野駅の周囲には宿がないとの情報で、上諏訪駅の近くに宿舎をとったのだが、各駅停車の終電は10時台、これでは駅まで戻ってくる時間も考えるとライヴを最後まで観ることはできそうもない。いざ茅野駅に着いてみると実際は小さなビジネスホテル程度ならこの駅の近くにもあるようだったが、まあいい、教えてくれた人も悪気はなかったのだろう。上諏訪じゃないといわゆる観光者向けの宿はないという意味だったのかな。
すでに日はとっぷり暮れている。エニウェイ、行くしかない。東京での生活に慣れていると、街灯は心細くなるくらいの微々たる光量だが、目印の少ない道を迷いながらも会場を目指す。なんとか到着したのは開場時間とほぼ同時。所要時間、20分強というところか。道さえ迷わなければ脅されたほど遠い距離ではなかった。
会場は"くるみ"というキッチュなハコで、ロッジというか、山小屋を改装した風でいわゆるライブハウスに慣れた身には新鮮で面白い。一方にはカウンターとテーブル、そして逆サイドにかなり広めのライヴスペースが開けられている。主催者と少し話す。なんと東京在住者らしく、なぜわざわざ茅野でライヴをやるのか気になったが、東京に戻った時にインタビューの約束を取り付けたので詳細はその時明らかになるだろう。さあ、いよいよライヴが始まる。NYLONはトップバッターだ!
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■NAYLON
確か稲妻のようなギターのカッティングから始まった。いきなりそれに唖然とさせられたのは覚えている。ところが、その後は断片的な記憶しかないのだ。時間軸が所々ずれている。最前列で真っ白になるまで踊りまくっていたっちゅうせいもあるが、それにしてもこういうことは珍しい。いかに衝撃的なライヴだったか、ということだ。
思い出せることから手当たり次第に書いていく。とにかく軸になるのはギター、ギター、ギター。この女、瞬間湯沸かし器みたいにすぐ熱くなる。客の中に楽器を抱えたまま突っ込んできたかと思えば、一段落してステージに戻った途端マイクスタンドを殴り倒す。終いには、わざわざ高いところを探してスタンドとギターを抱えたままよじ登り、上から客をやたらと挑発する。関西発信州行き暴走列車だ!
ところがところが、音は常にシャープなのだ。どんなに暴れまわっていても演奏は崩れない。運動量はギターが突出してるが、彼女がかき回した分を他のメンバーがきっちり取り戻す。特にベースやヴォーカルは、ギターが突っ込んでくると暗黙の内にすっとポジションを入れ替わり、ステージ上の秩序はギリギリのところでいつも保たれている。それでもやはり一瞬も目が離せないこの緊張感。一曲ごとに導火線に火を点けられるみたいだ
曲調はモロにパイレーツ直系ばかりで、後から冷静に考えれば単調といえば単調なのだが、ことライヴ中は興奮しっぱなしでそんなのはまるで気にならない。この日は出番が一番最初なのに、アンコールまで巻き起こしていた。期待以上のショウだった。
■FAVE RAVES
オーティスやらJBやら、ソウル/R&Bクラシックを演らせたらとにかくこのバンドに敵う日本人バンドはいない。声を一度聴いただけで忘れられなくなってしまう青山の突出したヴォーカリゼーション、通を喜ばせるフレーズを連発する職人肌のツイン・ギターコンビ、そして鉄壁のリズム隊。昨年のモッズ・メーデーで奇跡の復活を果たした実力派バンドFAVE RAVES。まさか長野で見るとは思わなかったなあ。
青山は冒頭から暴走。ステージを飛び出し、フロアの客の密集地帯ど真ん中で驚異的な歌声を張り上げる。思わずその辺の自称「カラオケ上手」たちに聴かせてやりたくなる、これぞ正真正銘ソウル!という琴線を震わすシャウト。目の前30センチの距離で挑発されるお客の顔が、驚愕からすぐに笑顔に変わる。バックでは顔色ひとつ変えずにメンバーが演奏を続ける。特にギターのオブリがいちいちニクイ。
終盤、なんと突然ホーン隊が乱入してきた。主催者さえも知らなかったというこのサプライズ、分厚い音を従えて演奏されたのは『パパのニューバッグ』!うおーっ、去年のグラストンバリーを思い出す。と、青山がNYLONのメグをステージに引っ張り上げ、主催者の上田氏もついでに引っ張り上げ、そして……え、オ、オレも!? そうなんです、この三人でしばらくフロントを支配することになっちゃいました。勢いとヤケクソで踊りまくる三人。でも、盛り上がったみたいだし、良かったぁ……そして正直、ちょっと気持ちヨカッタ! ステージに上がったのは久しぶりだったからなぁ〜。
*なお、ライヴ写真は11月6日の京都公演のものを使用しています。 |
report & photos by joe (live photos by tommy)
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