信州ロックンロール旅情
プロローグ
きっかけは11月6日のフォト・レポートだった。
ロックンロールを愛するようになってから随分経つが、何かの記事を見てそのバンドに興味を持つことは多々あっても、読んだ瞬間いてもたってもいられなくなり直後にライブにまで駆り出された、という経験は過去に一度しかない。6年前に某雑誌に載っていたキングブラザーズの紹介記事がそれだ。読みながら腰が浮き、血の温度が上がるのがわかった。そんなにすごいライブをやる連中なのかと興奮し、直近のショウにすぐに出かけた。そして衝撃のライブ体験。「こんなすごい連中がいるなら俺が音楽をやっていても仕方がない。やめよう」とまで思わされるわけである。まあ、結局やめてはいないんだが。
こんな体験はもう滅多にないと思っていたのだが、まさか同僚の仕事で触発されるとは思わなかった。とはいっても、実はこのバンドの名前だけは以前紹介した東芝EMIのディレクター、N氏から聞いていた。「すげぇバンドが京都にいてさ。ギターの女がいきなり客席にダイヴしてきやがるんだよ」一年ほど前そんな噂を聞き、面白そうだなと思ったのを覚えている。しかし関西のバンドだけに今までなかなか観る機会がなく(そして当時はドラマーが脱退した直後だっただけになおさら)、今日までその存在はともすれば忘れかけてさえいた。そんな時にドカンとこのフォトレポである。ぶっ飛ばされた。同僚を褒め殺すみたいでちょっと手前味噌だが、本当のことだから仕方がない。ちなみに撮影者のtommyとは過去にたった一度会ったことがあるだけである。
断っておくがオレは「メチャクチャやってる」とか「パフォーマンスがすごい」とか、そんな理由でバンドを選んでいるわけじゃない。先日のフジロックではGANG OF FOURが電子レンジをバットで破壊したし、最近躍進目ざましい漁港にいたってはショウの最後になんとマグロを解体する。それはそれで面白いとは思う。思うけど、だけど、NYLONのライヴ写真から伝わってくるものはそういうわかり易いアイコンとはまた質が違う。そこからビンビン感じるものは、誤解を恐れずに一言でいいきってしまえば"気合"だ。演奏が下手でもいい、コードを3つしか抑えられなくてもいい。だけど絶対に失くしてはいけないもの、ロックンロールに一番必要なもの。そこにはそれがくっきりと写っていた。
というわけで久々にぶっ壊れ気味にエキサイティングし、すぐにNYLONのライブ・スケジュールを調べたのだが、困ったことに年内には東京でのライブ予定がないのである。まいった。とても来年まで待っていられない。この火照った体をどこかで爆発させなければ狂ってしまう。そこでふと気がついたのが、長野県茅野市でのライヴ予定。これなら日にちは近い。そこで長野出身の友人たちに速攻で電話、茅野市のロケーションを訊いてみたのだが、誰もが「あそこは車がないと行くのはちょっと厳しいよ…」と厳しい返答。ぐむぅ。だけど、だけど……じゃあ、他にどうすりゃいいっていうんだ??
一分だけ迷い、でもすぐに決めた。行く! 車はないけど、まあ、なんとかなるさ。それにこの企画、MODS MAYDAYでお馴染みのTHE FAVE RAVESも出るみたいじゃないか。この二つのバンドが観れるなら自腹で信州くんだりまで行くのもそんなに悪くない。なんだか去年の【道南パンク行脚】を思い出してきた。よし、こうなりゃ企画者にも会ってインタビューも敢行してこようかな。なんで茅野市での開催なのか気になるし。オレはわくわくしながら特急スーパーあずさ号に飛び乗った。同じ車両にモッズ・コートを着た奴がいた。向こうで再会することになるのだろうか。
*なお、写真は11月6日の京都公演のものを使用しています。 |
report by joe and photo by tommy
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