Abraham Cross @ Mount System 2005,Tokyo Odaiba Open Court (23rd Oct '05)
アブラハム・クロスです
「トランスとハードコアの融合」、そないチープなタタキじゃ動かないって? 「ハウスを通過したハードコアの現在」、そんなものとっくに現在じゃないって? うんうん、たしかにそうかも知れない。最近はバンドの表面だけじゃ飽き足らず、バック・ボーンに目がいってしまう傾向があり、それは善くも悪くも確かな事実として有る。それに関してはどうにもこうにも逃れられないわけだけれども、ライヴを観た後に、このバンドはボアダムズのパクりだとかなんとか聞こえてくることがざらになってくると、ルーツなどつまらないものなんじゃないかと思えてくるのも感覚として有る。だって由々しきことだと思いますよ、パクりだからつまらんと言うのは。音楽、特にロックやんかはパクりを楽しんで前進していくのがオモシロいと思うのですが、みなさんはどうでしょう。
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逸れたところから話は始まりましたが、マウント・システム、お日様もよっぽど楽しみにしていたとみえてギンギンに台場のコンクリを照らした10月の半ば、観客のハリキリ過ぎないユルめのテンションが支配して、前半戦はチルな空気が会場を覆っていた。しかし、後半の夕方に差し掛かったあたりから状況は変わりはじめ、どこに隠れていたのか濃ゆいお客さんが顔を出しはじめる。アブラハム・クロスが出演したのはちょうどその境目で、日陰に入ると一変、肌寒く感じるほどの時間帯であった。
はじめの話に戻ると、アブラハム・クロスもあらゆるジャンルの音を包括するためか、他バンドとの類似性を指摘するひとが多い。最近ロウ・ライフで観た彼らのライヴは、パーカッションなどを取り入れた普段とは異なるトライバルなセットで展開されていたため、いつもに増して轟音ノイズが大音量で迫ってくる印象があり、まるで竜巻のようなライヴだったと記憶している。渦の中ではドゥームやスラッヂに通ずる重厚なリフも、中速で微かに聴こえるばかり。ぱっと思い浮かんだのは、サーファーズ・オブ・ロマンチカやボアダムズといった不定形なバンドたちであったが、それらよりもっと純度の高いハードコアというか、それらの影響をグッと詰め込んだ輪郭のはっきりしたバンドだとボクは思っていて、類似性以上に別解釈のダンス・ミュージックが鳴らされている"ハードコアというものの神秘性"に何か引き付けられるものがあり、そっちの方が気になっている。
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マウント・システムにおける彼らのライヴは、そういった側面を考えると異常なほどストイックなパフォーマンスだった。ヴォーカルといってもほとんど象徴といった趣のあるサインのような動き、視覚から得られる情報と後ろで鳴っている轟音と、何を信じたらいいのかアタマをフル回転させても何も分からない。ビート以外のところで自分が踊っていることに気色悪さを感じつつ、この陶酔感にずっと浸っていたいとも思え、思いを巡らせるとあっという間にライヴは終了する。しかし、これが終わりなのかも分からず、残るのはふくらはぎが感じる心地よい疲労感のみ。だれかこのシステムを説明してくれないか。
何か他のものと同じと言うならそれで完結すればいい。ボクにはどうにも訳が分からないので何度でも足を運ぶ。ただそれだけのことをやるのが窮屈なのは、やはり由々しき状況だと思うのですが... 終始話が逸れた気もしますが、このへんのバンドはその闘いを抜けたときどんな音を出してくれるのか、そこまで気になってしまうのだから楽しい。アブラハム・クロス、注目あれ。
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review by toddy and photos by ryota
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アブラハム・クロスです (05/10/23 @ Tokyo Odaiba Open Court) : review by toddy,photos by ryota
photo report (05/10/23 @ Tokyo Odaiba Open Court) : photos by ryota
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2005
どこでもニカイド、どこにもニカイド: 二階堂和美 (7th Nov. @ ザー・ザ・ズー代々木)
枝葉つける一本の...: The Dead Pan Speakers (23rd Oct. @ 東京お台場オープンコート)
サウンド・システム / 台場に強磁場: マウント・システム 2005 (23rd Oct. @ 東京お台場オープンコート)
簡単にお隣フェスとはいかないぞ / 韓国ロックの黎明期を体験 / 韓国ロックの現在を体験: Gwang Myeong Music Valley Festival (7th to 9th Oct. @ Gwang Myeong City, Korea)
溢れる想い: サン・パウロ (1st Oct. @ Asagiri Arena)
なにもかもほかして : ブリーチ(26th Oct. @ 渋谷AX)
CD review : 『極楽都市 / 好物』 : Rumi(ルミ) (26th Oct.)
流れるものは留められない : サウンド・トライブ・セクター・ナイン (1st Oct. @ Asagiri Arena)
溢れる想い: サン・パウロ (1st Oct. @ Asagiri Arena)
黒は終わった、白くぬれ!: シアター・ブルック (30th Sept. @ Liquidroom Ebisu)
その日は近い: 二階堂和美 + 渋谷毅、外山明 (18th Sept. @ Kichijoji Star Pine's Cafe)
インディーの手鏡: タイム・ボム・レコーズ 15周年記念イヴェント feat. タミオ・イノウエ, ルインズ, ジ・イーヴンズ, ブラインド・ビースト (18th Sept. @ Shibuya Quattro)
のび太くらいほっとけない: 危ダビ中年院 feat. ドラびでお、マキタ学級 with グレート義太夫、mr. natural(ミスター・ナチュラル) (17th Sept. @ Roppongi Super Delux)
パンドラの箱空けた: マグマ (16th Sept. @ Shibuya O-East)
突然の贈り物: カドゥ feat. 大貫妙子 (14th Sept. @ Yokohama Motion Blue)
厚み増す年輪、追いかけても回帰: あふりらんぽ (10th Sept. @ Tsujido Sputnik Cafe)
誤解上等、ズイノシンはパンクだよ: ズイノシン (9th Sept. @ Shibuya O-Nest)
危ないミライ、ヒカリは地下から: 危ダビ少年院 feat. コンチ、煙巻ヨーコ Session + 藤乃家 舞、オプトラム + カコイヨシハル(from ズイノシン)、エンジェル・オー・ディー、ノイナン、ガルペプシ、ディステスト (2nd Sept. @ 六本木スーパーデラックス)
ビールで酔いの宴: スペースシャワー列伝 第五十三巻 feat. カットマン・ブーチェ、サケロック、デパペペ (12th Aug. @ 新宿ロフト)
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