MODS MAYDAY '05 25th Anniversary Supported by Ben Sherman + SEXY DYNAMITE LONDON @ 川崎クラブ・チッタ (21st May '05)
Ready Steady G◎→!! : 総括
英国でMODSカルチャーが誕生したのは、もう40年以上も前の話となる。フレッドペリーのポロシャツに、ジョンスメドレーのニット、リーバイスの501。あるいはベンシャーマンのボタンダウンシャツに、三つボタンで細身のサイドベンツ入りスーツ。そんなファッション先行なイメージで捉えられがちなMODSだが、実は大切なスーツを汚さないようにと、簡単に洗える軍物のパーカーを羽織り、スーツでも簡単に乗れる跨ぐ必要のないスクーターを駆るなど、実用面もしっかり考慮された上でお洒落を大切にしていることまでは、あまり知られてはいない。
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MODSカルチャーが日本に入ってきたのは、それから15年ほど経ったころに公開された、ある1本の映画によるところが大きい。'79年公開の『さらば青春の光』がそれだ。まだ若かりしころのスティングもMODSグループのフェイスとして出演しているこの映画では、たとえば501を自分の足にフィットさせるために、まだ濡れているうちから履いて形を整えるなど、当時のMODSのお洒落にこだわる一面を十分に窺い知ることができる。その翌年、ポールウェラー率いるTHE JAMが来日したこともきっかけとなり、日本でのMODS熱は一気にヒートアップする。今年で25年目を迎えるこのMODS MAYDAYが産声を上げたのも、ちょうどその頃。当時はほんの100人くらいしか集まらなかったこのイベントも、今ではMODSやSKINSで知らない人はいないほどの老舗イベントにまで成長した。
この25年の間、場所を転々と変えながらも毎年5月にこのMODS MAYDAYが決まって開催されてきたのは、こっちは新宿のOTOで毎月開催され今年で20年目を迎える“Gang Stage”とともに、日本のMODSシーンを引っ張っているという自負という以外にはないだろう。

この日のトリを勤めた、東京MODシーンの第一人者“THE BOSS”の時なんか、ステージ上ではまさにさらば青春の光のワンシーンか、あるいはイギリスで当時毎週金曜にオンエアーされていたREADY STEADY GOのように、粋なモテ親父たちが大集合していたし、その時のTHE BOSSのVo.サトウの顔なんか、クールを装ってマラカスを振りながらも、サングラスの奥ではこれ以上ないくらいの笑顔だった。 |
日本全国から最高にクールなやつらがこれでもかと熱く盛り上がる、日本一スタイリッシュなイベントであることは、一度体験したら疑いようがない。おそらくMODSバンドと聞くと、多くの人たちが真っ先に思い浮かぶのは東京スカパラダイスオーケストラやthe collectorsになるんだろうけど、それ以外にもポップでソウルフルでブルージーな、ダンスアウトできるバンドは、この日出演したSOUL MISSIONやTHE MARQUEE、スクービードゥーなど数多い。
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13時、渋谷公会堂前にスクーターランに参加するMODSたちが集まり始め、チッタでお開きになったのが朝の6時頃。ほとんど丸一日がかりのこの日本一お洒落なお祭りは、周りよりも少しでもカッコよくありたい、スタイリッシュでいたいという思いをもつモダン嗜好のやつらがいる限り、いつまででも続くはずだ。この日、オーガナイザーの黒田マナブ氏は、この先あと25年はやり続けると宣言してくれた。その言葉を信じ、これからも東京の、いや日本のMODSシーンを期待を込めて見守りたい。さらば青春の光の中では、最後、主人公ジミーは退屈な日常に我慢できず、挫折を味わい、自慢のスクーターを捨て身を投げる。日本のMODSたちが退屈な日常に我慢できているのも、このMODS MAYDAYで一年分のガス抜きができているからに、他ならない。MODSが好む、酒とクールなダンスと垢抜けたファッションが、このイベントには溢れている。 |
report by imakaz and photos by sama
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