South by Southwest Music Festival + Conference @ Austin, Texas (16th - 20th Mar '05)
SXSW05 特集
Guitar Wolf 「本物」
日本のロッケンロールが世界を制する。こんな素敵なことが現実になりつつある。実際、SXSW期間中に行われたジャパニーズ・バンドのみが出演する『JAPAN NITE』というイベントもかなりの盛り上がりみせてくれたし、もちろんSXSW以外にも単独で海外ツアーをするアーティストが様々なところで熱狂を作り出している。
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その中でも別格の知名度と人気を誇るGuitar Wolfのベースウルフことビリーが突然いなくなってしまった。それは一年で唯一、どんな嘘でも許される日の前日の出来事だった。どこを探してもいない。見つかるのはオフィシャル・ホームページの、モノクロームで酒とベースと革ジャンと一緒にいるビリーだけだった。そして下にビリーとの再開場所とその日時だけが記されていた。「臨海斎場」?どこだよそれ。「4月6日」?いやいやちょっと待ってくれ。次に会うのは4月2日の渋谷AXだったろう?親友のTHE D4も一緒にさ。そこでビールを飲むはずだったじゃないか。
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SXSWの3日目、Beerlandという新宿ロフトの半分ほどの大きさしかないライヴハウスに、この日のトリとして出演したGuitar Wolf。彼らがそんなライヴハウスに出演したもんだから入り口付近は溢れる人で騒然となり、プレスでさえ入れないといった状況になってしまった。ようやく中に入るともう2曲目の"フジヤマアタック"が始まっていた。セイジはもうもみくちゃで、トオルはすでに裸、ビリーは唇の端をキュッと上げ、乱れたリーゼントもお構いなしで白黒のプレシジョン・ベースのネックとボディーの辺りを掻き毟っていた。
ステージとフロアの間には柵はおろかスペースさえないこのライヴハウスは臨界点をとっくに過ぎ、熱気とロッケンロールだけがこの場を支配していく。日本語の「歌」をセイジと一緒に歌うオーディエンス。日本語だよ?「コンニチハ」とか喋るのとワケがちがう。もうGuitar Wolfもオーディエンスもロック坂を転がるのに夢中になっている。
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彼らはそんなステージを演った。いつも通りに真剣に汗とかビールとか唾液でグシャグシャになって、いつも通りにオーディエンスにギターを弾かせて、いつも通りに最っ高のロッケンロール・ショウを演って……。アメリカのロッケンロール・ジャンキーを圧倒してきたばかりだった。だから本当に信じられなかった。もうそれしかなかった。あのステージが鮮明に焼きついて、人に会う度にその話をしていて、絶対にもう一度海外であの3人をを観るって決めていたのに。もうあの3人のステージは観ることができない。
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この革臭い狼たちは常にお互いのロッケンロールでぶつかり合っている。だから「爆音」と称される。本能むき出しでぶつかるからテクニックなんてものは二の次だ。大事なのはハート。どこまで出し切れるか。どこまで宇宙にいけるか。日本でもヨーロッパでもアメリカでも南米でもどこでもそうだ。そんな宇宙スケールのロッケンロールが狭いライヴハウスで鳴り響くからみんなやられてしまう。言葉の壁なんてものはとうの昔に置いてきた。日本語で宇宙までいっちゃうんだから世界なんて小っちゃいこと言うなよ。宇宙人が英語喋るかってんだ。
4月6日、涙とか黒いネクタイとかお別れの言葉なんてものは必要ない。宇宙にいくビリーを送るんだぜ?黒いライダースにビールでも持って、タバコ燻らせて、空に向かって「乾杯」しようぜ。本物のロッケンローラーにはそれがお似合いだよ。
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report by taisuke and photo by sama
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mag files : Guitar Wolf
本物 (05/03/18 @ SXSW05, Beer Land Austin TX) : photo by sama
photo report (05/03/18 @ SXSW05, Beer Land Austin TX) : photo by sama
photo report (03/12/20 @ LONDON NITE, Kawasaki Club Citta) : photo by nachi
photo report (03/12/20 @ LONDON NITE, Kawasaki Club Citta) : photo by yusuke
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2005
SXSW 編集後記 (16th - 20th Mar @ Austin TX)
本物 : Guitar Wolf (18th Mar. @ SXSW05,Beer Land Austin TX)
言葉の壁、崩壊 : The Emeralds (18th Mar. @ SXSW05,Caribbean Lights Austin TX)
『R指定』暗黒テーマパーク : Flametrick Subs w/Stan's Cheerleaders (18th Mar. @ SXSW05,The Jackalope Austin TX)
Mag Special with SXSW05 (16th - 20th Mar @ Austin TX)
伝説と出会った夜 : The Dirty Dozen Brass Band and The Benevento/Russo Duo (1st Jan @ Shibuya AX)
Disc Review : 笑顔を作り出す素 : The Dirty Dozen Brass Band
BBBBをより楽しく観る方法 : Black Bottom Brass Band (29th Jan @ Kichijoji Star Pine's Cafe)
2004
ATTENTION!!よりCAUTION!! : THE NEAT BEATS (7th Dec @ Ebisu Liquidroom)
ド派手な黒色 : インビシブルマンズデスベッド (27th Oct @ Shibuya O-WEST)
column : 偶然出会った彼女 : 浜村美智子のこと (4th Oct)
Interview : 理屈は後からついてくる - part2 - : Black Bottom Brass Band (11th July)
Interview : 理屈は後からついてくる - part1 - : Black Bottom Brass Band (4th May)
楽音 : Black Bottom Brass Band (10th Apr @ Ebisu Qu'est ce la)
ロックンローラーの条件って? : THE NEATBEATS (18th Mar @ Shibuya BOXX)
ホーン≒ピストル : Black Bottom Brass Band (17th Feb @ Shibuya BYG)
DVD review : どう考えても普通の光景じゃない : Thee Michell Gun Elephant - a filmography of THEE MICHELLE GUN ELEPHANT the Complete PV collection TRIAD YEARS 1995-2002 - (5th Mar)
ジョニーすげぇよ! : The Johnny Boys (13th Feb @ Shinjuku DOM)
説明不要のロックンロール : JUDE (21st Jan @ Shibuya AX)
Disc Review : 『Single Complete』 : KEMURI (9th Jan)
2003
おもちゃ箱 : BLACK BOTTOM BRASS BAND (12th Nov @ Shibuya Quattro)
イケナイコト : 東京スカパラダイスオーケストラ (26th Oct in 平安神宮奉納スペシャルライブ - NHK総合)
THE DECIBELS JAPAN TOUR 2003にて: THE NEATBAETS (22nd Sep @ CHELSEA HOTEL)
ルーシーの影 : Thee Michelle Gun Elephant解散...
1999
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