Niigata Aid feat. Theatre Brook and more... @ Shibuya AX (23th Jan '05)
「意識」
ステージに揺れるロウソクは、子供の頃にアニメか何かで見た様な風景。ロウソクのひとつひとつが人の命で、消えたら死ぬんだって、おばあちゃんか誰かが説明してくれた覚えがある。簡単に消えるものなんだって聞いて、幼いあたしはひどく怖かった。なんともチャリティーに相応しい舞台。開演を待ちわびつつ、スタート前からまわるDJに体を預ける。
出演者が多いこのイベントでは、客層も様々、さしずめ異種格闘戦といった趣。トップのエマーソン北村に続き、tobaccojuiceや、浜崎貴司がステージに立つ。四弦楽シンフォニックにMCUのラップを組み合わせたりと実験的なステージング。こういう遊びができるのも、アーティストの自発的イベントならでは。浜崎のFlying Kids時代の名曲「幸せであるように」が聴けたのも嬉しい。このタイミングで聴くとマジで泣くよ? 事実、震災によっていろんな人がいろんな別れを経験したはずだ。あたしだったら…どうするんだろう。
「新潟の地震があって、その後スマトラの津波があったじゃないスか。…そういう…、自然災害で、子供を失った親、親を失った子供、恋人をなくした人。いろんなものを…失ったと、思います。」
佐藤タイジは、ステージに現れてすぐに、そう口にした。そして、一分の黙祷。しんと静まる客席に、時折出入りする人がいるのか、ドアが開いてロビーで談笑するたくさんの人の声が聞こえてくる。目をつぶっているからわからないけれど、たぶんお目当てのゲスト登場まで、外で過ごしているのだろう。
その沈黙の後に演奏されたのは”まばたき”。ゆるやかに強く伸びる声、単純に美声だけど、それだけじゃない。タイジの声はどこかデニムの匂いがする。「ドアをあけて踏み出せ」と何度となく繰り返す歌詞。このメロディアスな曲の最後に、叫ぶ様なワウプレイが入った。いつまでもいつまでも鳴り響くその音には、沈黙を一瞬で解放する力がこもっている。どうかこの音が、新潟にもスマトラにも…天国にも、届きますように。
そのすぐ後に、ゲストを迎えてのセッションパートがスタート。これもまた、イベントの実験性が現れたおもしろい企画だと思う。タンバリンを振って眩い笑顔で歌うLeyonaの「音楽なんだから、楽しんでいいんだよ?」という煽りに「日本は自由な国なんだ、だからこんなことだってできる。できない国だってあるんだ」とタイジが答える。
続いて、ギターバトルを子供の様に楽しむ清春。突然飛び交う黄色い声援に「なんや、今日反応悪い思うたらみんな清春くん目当てやったんや」と思わずタイジが苦笑する場面も。そして、BUCK-TICKのヴォーカルで、最近はソロワークも行う櫻井敦司。「一発…かましますよ?」と不敵に微笑み、客席を大胆に煽ってゆく。「ライヴは必ず盛り上がらなければいけないのか?」と疑問を抱いてステージに立っていた数年前の姿はない。己のキャラクターとポジションを知ったパフォーマンスでタイジに妖しく絡みついてゆく。そこから一瞬だけプレーンなシアターブルックに戻り、一人ずつ出演者をステージに呼んでの大セッション大会。ステージは確かに完成していた。
だが、すでに客数は減っていた。ゲストが現れるたびにくるくると入れ替わった客層が、ここで本当に絞られたように感じる。なにせ、外は雪だ。アンコールを求めることもなく、さっと客席が空になる。立場上、チケットを買っていないので、ロビーのチャリティーカウンターで少しだけど募金した。勿論、他にも何人かが募金している。だけど、その前を早足で通り過ぎてゆく人波に、時々肩がぶつかった。
これも含めての「自由」なのだから、別に構わないのだけど。…だけど。
帰り、雪の中を歩きながらずっと考えていた。いいイベントだったのに、何かが自分の中でしっくりこない。勿論シアターブルックは大好きだし、他の出演者も客席も、自分にできることをしたはずなんだ。もっと、おもしろいイベントになるはずだったんじゃないのか。たぶん企画した段階で、彼らもそう確信していたと思う。だからこそ、あたしは言いたい。
「本当に、これでよかったの?」と。
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report by yuka and photo by naoaki
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| keco's photo report 1 I 2 / naoaki's photo report 1 I 2 I 3 | review by yuka & taiki |
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