mag-ryotaのNY写真日記 '04
「入国」
どのくらい飛行機の中にいたのだろう。米航空会社ノースウエストと言っても、私にはシートが小さすぎる。機内から窓の景色を眺めることもなく、粗悪なヘッドフォンで機内放送番組を聴きながら、目的地に着くまでの時間を過ごした。それは、東京で地下鉄に乗っている感覚と同じだった。
入国審査では、滞在先をかならず聞かれる。事前にインターネットでサブレット先を決めていた私は、その住所を答えた。(仮名)カタセさんという劇団演出家にお世話になる予定だった。入国審査官とのやりとりの中で、劇団演出家の彼女とは数年の付き合いがあるという架空の設定で話を進めていた。しかし、審査官の何気ない質問に、一瞬、戸惑った。彼女の職業を聞かれたとき、「劇団演出家」という英単語が出てこなかったのだ。思い出せずにいる数秒という時間は、審査官が私を疑うのに十分な時間だったと思う。嘘に嘘を重ねるつもりではなかったが、とっさに出た一言が、「彼女の職業は日本語なら説明できる。けど英語でなんて言うかわからない」、だった。
後にその劇団演出家の彼女と会うことになるのだが、入国審査で何度も、わたしが「彼女」と呼んでいたカタセさんは、実は男性だった。
6th Jan '04 / text & photo by ryota
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