ブリーチ

"bleach stone" 『ブリーチ・ストーン』 (国内盤)
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photo report : (09/05/26 @ Shinjuku Loft) : photos by naoaki
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photo report : (08/08/31 @ Shibuya Lush) : photos by terumi
誇り高い轟音を : (08/07/11 @ Shibuya Eggman) : review by nob
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ブリーチ解散によせて
6月10日をもってブリーチは解散した。
ずっと応援してバンドが突然こんな結末を迎えるとは思わなかった。いまだに何といっていいのかわからない自分がいる。
予定されていたライヴはすべてキャンセルされたために、最後のライヴは5月26日の新宿ロフトになってしまった。今にして思えば、smashing magで最後のライヴをちゃんと記録できてよかったのかもしれない。いや、やっぱり続けてこそのバンドだと思うので、最後なんていって欲しくなかった。そして、すでに完成していた新譜『bleach stone(ブリーチ・ストーン)』は7月7日に発売される予定だ。それを聴いて、思うのは「なんで解散なんだ……」ということである。
新譜は、最近のツアーで演奏されたいくつかの新曲を含む全8曲。トータルで23分余りという凝縮されたアルバムで、ブリーチの「これから」がそこに詰まっていたのだった。ハードで荒々しいサウンドはそのままに、それぞれのメンバーの成長が見ることができる。かんなの声はよりセクシーになり、よく通るようになっているし、ミヤの不思議なアニメ声とデス声の落差は激しくなり、さゆりは豪快にストレートに心情を歌い上げる。
ライヴでも演奏されていた"ナイト・オブ・ザ・リビングウッド"は、オリエンタルなムードと焦燥感がある切迫したリズムが、異常なテンションを作り出している。3人の演奏の集中力はここにきて最高潮になり、このアルバムをステップに、また次のステージにいけるはずだった。曲やそれぞれの演奏に関しては完成を見て、歌詞や歌うべきテーマは、この次の展開を期待させるという、集大成的な面と過渡期的な面がひとつのアルバムに同居していた。
だから、ただ残念である。2002年8月23日に下北沢ベースメント・バーで初めて彼女たちを観て衝撃を受けてから、約7年。その間の歩みはsmashing magでできる限り記録されている。東京でのライヴはかなりの回数を取り上げているし、カメラマンはアメリカツアーを記録している。地元沖縄でのライヴを観ることは1回しかできなかったのは残念だけど、7年間の彼女たちの変化、成長をしっかり捉えられたと自負している。それだけに、ここで終わってしまっていいのかという気持ちもある。幸いにして音楽活動は続けるということなので、それを見守っていきたいと思う。
自分は、ブリーチの何に惹かれたのだろうか。その音の迫力、激しさ、重さがすさまじかった。そして、その音が彼女たちの心底から自然に出てきたものであった。表面的なものでなく、そのへヴィな音にはソウルがあった。へヴィな音を出すバンドはいくらでもいる。だけど、そこに演奏している人の情念や生活を嗅ぎ取ることができるのは、そんなにいない。彼女たちの音には常に怒りがあり、抜け出そうと願う苦しみがあり、音楽の謎を司る精霊との交信があった。彼女たちより上手いバンドはいくらでもいたけど、心の奥底に触れるような音を出すバンドはなかなかいない。それから、決して「女」を売りにしなかったことである。女の人がバンドやっていると、あからさまな態度に出したり、歌詞にしなくても「女の子である、あたしの歌を聴け」「可愛いあたしの歌を聴け」という姿勢を感じてしまうことがある。それが魅力になることもあるけど、それが鼻につくこともある。ところが、ブリーチには「女」であるという過剰な意識はすっかり抜け落ちているのだ。だから自分はあんまりブリーチに「女」を感じたことはない。性差は関係なく、素直にすごい音を出すバンドとして好きになることができた。
最後に。この新譜のラストはさゆり作曲の"つながりたい'09"という曲で、コミュニケーションが苦手な人がストレートに心情を吐露した歌詞になっている。それは女とか男とか関係なく、対人関係が苦手な人の自意識が伝わってくるのだ。このバンドは、ずっとそうした対人関係の難しさが底にテーマとして流れていたように思う。そこが男である筆者でも同じレベルで、そのテーマを受け入れることができることでもあるし、その対人関係の難しさにこだわることによって、歌うべきことが煮詰まってしまったのかもしれない。自意識に囚われないでもっとラクにして生きようぜ! とも思うけど、それができなかったのが彼女たちたるゆえんだったのかもしれないし、そこを乗り越えたところに新たなテーマがあったのかもしれない……と考えるとやっぱり残念でしょうがないのだ。
reviewed by nob
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