ア・フラッド・オブ・サークル

"バッファロー・ソウル" (国内盤 )
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CD review Buffalo Soul (09/04/27) : review by satori
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interview : おはようございます、ア・フラッド・オブ・サークルです : (08/08/05) : interview by satori & jet-girl, photos by sam
この狂おしさは一体なんなのだ! : (08/07/13 @ Shinjuku Loft) : review by jet-girl, photos by sam
未来につながるメロディー[ : (08/05/29 @ Shimokitazawa Shelter) :review by satori, photos by terumi
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アカデミー賞を始め、ありとあらゆる映画賞を受賞しまくり、2008年の映画界における話題を独占した『スラムドッグ・ミリオネア』。インドのスラム街で生まれ育った青年がクイズ番組に出演するが、最終問題にたどりついたところで、不正を疑われ逮捕されてしまう。「スラム街出身の彼がどうして難問に答えられたのか?」という謎を解き明かしながら、疾走感あふれるストーリーが展開していく。冒頭に、こんなテロップが出る。
"彼はなぜミリオネアになれたのか?"
A. インチキした
B. ツイていた
C. 天才だった
D. 運命だった
正解はぜひご自身の目で確認していただくとして(見て損はありません)、私はこの映画を見ながら、ア・フラッド・オブ・サークルのことを思い出し、グッときていた。当たり前だけど、彼らは別にスラムドッグじゃないし、逮捕なんてもってのほか。ただ、クイズの答えと主人公の人生がシンクロしていく様子や、彼に魅せられた人々の熱狂が、フラッドの未来を指しているような気がしたのだ。なにより、混沌とした街を走り抜ける登場人物たちの姿が、「メジャー」という大海に勢い良く飛び出していったフラッドの姿と重なって見えた。
で、ようやく、彼らのメジャー・デビュー・アルバム、『Buffalo Soul(バッファロー・ソウル)』について。4月22日リリースのこのアルバムは、フラッドにとって初めてのフル・アルバムだ。レコーディング当時はメンバー全員が22歳。彼らのハツラツとした部分が前面に押し出され、とてもポップな仕上がりになっている。正直、このポップ感に戸惑いを覚えないと言えば嘘になる。だがおそらく、この軽やかさは今だからこそだ。4人の無邪気な笑顔がパッケージされたことは、素直に嬉しい。
アルバムの前半は、"シーガル"、"Thunderbolt(サンダーボルト)"、"Buffalo Dance(バッファロー・ダンス)"、"エレクトリック・ストーン"と、インディーズ時代にライブ・シングルとして発表された曲が続く。スタジオでじっくりと練り直されたこれらの曲は、ライブ盤とは明らかに趣が異なり、タイトでクリアなリズムと、それによって改めて浮かび上がってきたキャッチーなメロディが聴く者の心を沸き立たせる。
短いセッションをはさんで聴こえてくるのは"ブラックバード"。まだア・フラッド・オブ・サークル未満だった頃、佐々木(Vo.)と岡庭(Gt.)が出会って最初に作った曲だ。フラッドの原点であるこの曲がメジャー・デビュー・アルバムの中心に据えられていることには、とても意味があると思う。これから先、環境がどんなに変化しても、彼らの芯がぶれることはないはずだ。
途中に再びセッションをはさみながら、"陽はまた昇るそれを知りながらまた朝を願う"、"僕を問う"、"春の嵐"と新しい曲が続く。整理できない感情にいらついたり、現状を乗り越えようともがいたりしても、基本的にはその先にある未来を信じているのが、フラッドのスタンス。彼らの放つメッセージには、青さと同時にどこか明るさがある。歌声の向こうに、4人のニヘラッとした笑顔が見えるからかな。
全員で声を重ねる様子が微笑ましい"ラバーソウル"で盛り上がった後、これまで音源化されていなかった名バラード"ノック" がしっとりとラストを飾る。全12曲、今しか歌えない、今歌うべき歌が詰まっている。なんともフラッドらしい、軽快で清々しいアルバムが出来上がった。それでもやっぱり、彼らはこんなもんじゃないというもどかしさも残る。なぜなら、フラッドにはまだまだのびしろがあるはずだから。ファンの期待は広がるよ、どこまでも。
"エレクトリック・ストーン"の歌詞から抜粋された『Buffalo Soul(バッファロー・ソウル)』のキャッチ・コピーは、「僕らを救うのは、このロックンロール」。はい、まさしくその通り。逆に言えば、このロックンロールを守るのは、「僕ら=ファン」だと思う。フラッドの可能性を信じ、彼らの音楽を愛してやまないアナタたちのことですよー。いずれ、人々がこんなクエスチョンを口にする日が来るだろう。
"彼らはなぜ本物のロック・スターになれたのか?"
その時、私たちはどう答えるだろうか? ファイナル・アンサーは、ア・フラッド・オブ・サークルとファンが共に歩みながら、ゆっくりと導き出していけばいい。その第一歩が、たった今、踏み出されたのだ。
reviewed by satori
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