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ちょ〜〜最高〜〜〜!! すげぇ〜、イェーイ、ロケンロ〜〜!!! マジ最高! ロックンロール最高!! ザ50回転ズの3枚目のアルバム。彼らが3枚目にしてまたまた傑作を作ってきた。相変わらずシンプルで勢いあるロックンロールが曲のほとんどを占めているので、今までのファンの期待も裏切らない。聴けば一発でサビを一緒に歌えるような覚えやすさもある。とにかく買って損はない。以上。
……と書けば済む。が、もうちょっと理屈をこねらせてもらう。今の日本のロックバンドは結構良いものが多い。演奏も曲も良くできているものがある。でも、この時代になんでわざわざロックバンドをやるのか? と思ってしまうバンドが多い。つい最近までは好景気といわれていたけど一部の人だけが儲かるだけで、今はそれすらどうなるか分からない不況に突入した中、もっと言わなきゃいけないことがあるんじゃないかと思うのだ。確かに青年期特有のナイーブな感性で疎外感を歌ったり、鋭い感性で物事の断片を切り取ったりできるバンドはある。だけども、ストレートに時代に対峙できる歌を堂々と歌えるバンドはほとんどない。この『50回転ズのビックリ!!』を聴いて、勢いのあるロックンロールや笑いの中に、しっかり「時代の中で歌わなきゃいけないことを歌う、それもちゃんとしたわかりやすい日本語で」をCDの中に残しているバンドなんだと改めて確信した。
『ぶちこわせ!』では社会の不満がストレートに歌われているし、『無実の男』は冤罪がテーマだし、『納税者より愛を込めて』もストレートな不満がぶちまけられている。もちろん、政治的や社会的なことを歌えばそれだけで評価してしまうなんていうも安直すぎるだろう。彼らがすごいのは、何かの思想の元に曲を作っているのではなく、デビュー前から貯めていた曲を使い果たし、新たに曲を作らなければならない中で、言いたいことを吐き出したらこうなった、という感じなのだ。
ちゃんと時代を感じそれを歌にできるという意味で50回転ズは、もうひとまわり大きなスケールを獲得したんじゃないかと思うのだ。このCDは売れてほしい。というか、多くの人に聴いてもらいたい。そしてこの時代にインパクトを残してほしいと思うのだ。
全曲解説
1.ゴキブリ賛歌
イントロのギターのリフがハードな感触を持つパンクナンバー。ダニーの作。渋太く生きてバイ菌をばらまくゴキブリを荒々しい演奏と歌で称える。
2.OH! ALL NIGHT LONG!
ドリー作。すでにライヴでは披露されている。オーソドックスなロックンロールだけど、これも荒々しい歌い方が印象的。
3.SURFIN' GIRL
どこかで聴いたことありそうなダニー作のサーフロック。歌詞が典型的なビーチの光景を描いていてちょっと気持ち悪いくらい。たぶんわざとやっているのだろう。ほとんどパロディ。
4.ぶちこわせ!
「どんだけ汗を流しても/たいした金にはなりゃしない」と格差を直視して、社会の不満を歌うダニー作の勢いのある曲。サビは初めて聴いてもすぐに合唱に持ち込めるだろう。
5.耳鳴りロック
ボギー作。『ギヤを入れろ』のように少しダークで勢いのあるロックナンバー。ちょっと言葉の使い方がおかしなところがあるけど、ノリ重視の歌詞ということなのだろう。
6.無実の男
冤罪をテーマに警察やマスコミの対応を歌う、ドラマ仕立ての曲。ダニー作。サビはシンプルだけど、サビに至るまでの歌詞が巧みだ。パーカッションがよいアクセントになっている。
7.グローリー・グローリー
サッカーや野球の応援歌として大きなスタジアムでみんなと歌うと気持ちよさそうな曲。ドリー作。前向きで心強い歌詞は大合唱する機会があれば一層映えるだろう。
8.俺の空
本宮ひろ志先生の漫画と関係ありそうな、昭和のテイストが濃厚な曲。ダニー作。迫力ある歌いっぷりもよい。
9.まったく話になりません
ハナ肇とクレイジーキャッツを思わせるような、ダニー作のボヤキ節。リアルなバンドマンの日常という感じか。終盤のダニーの語りは爆笑。
10.たまにはラブソングを
タイトルから受ける印象とは異なり、ノリのよいロックンロール。ダニー作。歌詞は確かにロマンチック。
11.納税者より愛を込めて
税金への不満をぶちまけるハードコアパンクナンバー。ダニー作。社会へのストレートな不満を表明するのがパンクの本来の役割だろう。
12.ブンブンブン
すでにライヴでも演奏されているダニー作の勢いあるナンバー。そのときのライヴでもいきなり合唱になったように覚えやすい曲。ゴキブリには甘いが、ハエには厳しい50回転ズ(笑)。今回のアルバムで一番の曲だと思う。
13. 故郷の海よ
ダニー作の懐かしさを感じさせるフォークな曲。アコースティックで柔らかい響きはこのアルバムの中ではオアシスのような存在。ダニーのヴォーカリストとしての魅力も再発見できる。
14.NO NO NO
ブルーハーツを思わせる曲。初めてロックやパンクに触れた少年の心情を描く。ダニー作。
15.BEER LOVE
タイトル通り、ゲップで始まりゲップで終わるビールへの愛を歌う曲。ダニー作。このアルバム1曲目に「やれるもんならやってみな」、そしてこの曲で「かかって来いや!」と挑発するようにバンドの自信が満ちあふれている。曲のバラエティも広がり、かつ、今までの50回転ズを期待するファンも裏切らない傑作なのだ。
ライヴスケジュール
12/30(火)rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN08/09 幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
12/31(水)rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN08/09 WEST インテックス大阪
2/7(土) 岡山MO:GLA
2/8(日) 福岡DRUM Be-1
2/17(火)金沢vanvanV4
2/18(水)新潟JUNK BOX mini
2/21(土)旭川CASINO DRIVE
2/22(日)札幌BESSIE HALL
2/24(火)宮城・仙台CLUB JUNK BOX
2/27(金)香川・高松DIME
3/1(日) 愛知・名古屋ElectricLadyLand
3/3(火) 東京・赤坂BLITZ
3/5(木) 大阪・なんばHatch ※FINAL
reviewed by nob
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