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ファースト・アルバム、『ポップ・セイヴ・アス』からわずか半年でリリースされたハリスの新譜『ニュー・ワールド』。まずは1曲目から7曲目まで通して聴いて欲しい。Vo.アキラが「今のハリスとこれからのハリスの橋渡しにしたかった」と語る意味がよくわかる。『ポップ・セイヴ・アス』の流れをくむポップ・チューン、"Silly Love Song"(「シリー・ラヴ・ソング」)、"New World"(「ニュー・ワールド」)ときて、4曲目"Don't Have To Cry"([ドント・ハフ・トゥ・クライ」)は「これからのハリス」を象徴するようなスローで優しいラヴ・ソング。そこから"Hush"(「ハッシュ」)へと続くドラマティックなベースラインはこのアルバムの聞きどころでもある。ウッドベースの域を越えたウッドベースなのだ。そして、ラストの"Good Bye My Reason"(「グッド・バイ・マイ・リーズン」)は映画のエンディングのような、切なさと次への希望を感じさせる。
このアルバムでは、未来への予感と、いままでとは違う側面を見せているとはいえ、ハリスの音楽の基本「聴いてすぐに体が反応するわかりやすさ」はそのままである。ただし、誰でも踊れる曲を簡単に作っているわけではない。
「わかりやすい曲=単純なものじゃないというのはわかっていて、すごく考えたうえでそういうものを出している。例えば出しどころは小学生でものれるようなものだったとしても、そこにいきつくまでには4人が歩んできた過程もあるし、いろんな道を経てきている。だから説得力がでてくる(Dr.高橋)」
「はずれない直球を投げるのが一番難しいから。ストレートにやればいいといっても、カッコ良くありたい。ブサイクにすごい球を投げるより、カッコ良く直球を投げたい。それがハリスのテーマ(G.セイジ)」。
そういう意志も感じながら聴くと、このアルバムとハリスの良さがさらに見えてくるのではないだろうか。
それから、もうひとつ。ぜひ歌詞カードを見て、言葉を追いながら聴いてみて欲しい。日本語と英語で思いっきり遊んでいる歌詞を活字で見ると「こう歌ってたのか……」という、驚きとやられた感で思わず笑ってしまうから。
reviewed by wacchy
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