|
|
「アイリッシュ+パンクの次はジプシー+パンクだ!」と、一度ハマったら抜け出せない大陸系田舎音楽を紹介したいんだけれど、ひと思いにジプシー出身のバンドを羅列し「そら聞け!」と言っても、その圧倒的迫力のためか温度差が生まれて拒否反応を起こしかねない。猥雑さが魅力なんだけれど、先祖代々続く血のせいか、臭みが強すぎるのである。そんな中、すんなりと出会いがしらで受け入れることができるバンドが、僕が知るところひとつだけある。
それは、ニューヨークはブルックリンのワールド/インフェルノ・フレンドシップ・ソサエティ。ポップだけれど、どこか大陸移民の匂いを漂わせたバンドだ。日本での知名度はまだまだだけれど、本国ではかなりのツアーをこなし、周囲を巻き込むライブで話題をかっさらっているようだ。ジプシー、スウィング、ポルカなどなど、幅の広い攻め方で迫るホーンやアコーディオンの衣を剥がしてみれば、80年代のニューウェーブやUKインディーの取っ付きやすさが詰まっている。
例えばCD持参でバーに行き、スタッフと仲良くなったところで「ちょっとコレ(アルバム『Red-Eyed Soul』)かけてくれよ」とお願いすると十中八九かけてくれるんだが、1曲目が様々な時代と趣味趣向が凝縮され、おまけに自然と踊らせる曲となっている"Brother Of The Mayor Of Bridgewater(ブラザー・オブ・ザ・メイヤー・オブ・ブリッジウォーター)quot;であるから、自然とアルバム試聴会の場ができ上がってしまう。そうなればしめたもの、アルバムが終わるまでずっと彼らの曲が流れ続け、草の根の宣伝活動が何の気なしにできてしまう。
その"ブラザー〜"はのっけからロカビリータッチのドラムが走り高揚感が高まってきたところで、ラウンジで演奏するブルースギタリストが突然狂いだしたかのようなリフが割り込んでくる。ジャックが声を荒げていくとやがてコーラスが添えられ、重みが増すのだ。
キャバレーやサーカスのような…といった枕詞が必ずと言っていいほど用意されているワールド・インフェルノ・フレンドシップ・ソサエティ。確かに溢れ出す音の世界は騒々しく楽しげだ。だけれど、決して楽しいばかりだけじゃなく、歌詞を翻訳し全体の世界を捉えてみれば「自分で道を探し出せ」という主張が浮き彫りになっているのだ。
reviewed by taiki
|
|
|