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へっ、この人達どう見てもレゲエかハウス系のDJにしか見えないんですけど。音楽はどう形容して良いものか、ごった煮インディー・エレクトロニカ+サイケデリック・ポップ+ループ・サウンドって感じでしょうか。ブルックリン出身のティーヴィー・オン・ザ・レディオのニュー・アルバムは序盤から妖しくも小粋なリズム・センスとソウル・テイスト溢れる熱い歌唱力で、時にまったり、ねっとり、さっぱり、何でもありの摩訶不思議空間へと誘ってくれる。
サンバのリズムの如し弾かれるパーカッションの力強い音と、ゆらゆらと浮遊したヴォーカルが現代の民族音楽とでもいうような独特な雰囲気を持って展開される"プレイハウシィズ"、閉塞した空気感と歪んだように奏でられるギターとはやるように言葉がテンポ良くメロディをなぞる"ウルフ・ライク・ミー"、それでもってこの1曲は中間でスローになり溜めながら,終盤一気に駆け出すようにサビが歌われる。ゴスペルというのも違うけれど、こう、前に前にと明るく進んで行く勇み良い歌詞とプログラミングされた譜面とが、なんでもありの柔軟さで自由に楽しく彷徨っているような表現が不思議と後に引くのだ。ハイファイでも、ローファイでもないその中間。それがクセになる。
イェー・イェー・イェーズのアルバムをプロデュースしたデイヴィッド・シーテックを中心人物としたこのバンドは、2004年に本国でリリースされた『デスパレイト・ユース・ブラッド・サースティ・ベイブズ』がインディー・シーンで特に注目を集め、彼らのサウンドを気に入ったデイヴィッド・ボウイが今作3曲目の"プロヴィンス"でコーラスとして参加しているほか、ニューヨークのアヴァンギャルド・シーンを支えるカズ・マキノ(ブロンド・レッドヘッド)、カトリーナ・フォード(セレブレーション)とマーティン・ペルナ(アンティバラス・アフロビート・オーケストラ)、クリス・テイラー(グリズリー・ベアー)という豪華なメンバーもアルバム作りに加わったという。今月18日には恵比寿のリキッドルームにて単独公演が決定している彼らの多岐に渡ったジャンルが融合された音のるつぼ、はまったら抜け出せない生き地獄ならぬ生き天国です。
reviewed by kaori
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