|
はぁ、もう痛快これ極まれり。5月のNMEツアー・ショウでは怒濤の熱狂へんてこパフォーマンスで、明るい未来を証明したジ・オートマティック。とうとうこのデビュー・アルバム『ノット・アクセプティッド・エニィウェア』解禁!とにかく前へ、前へと躊躇なく進むメロディックなギター・サウンドに、野性味ある男臭いヴォーカル、歌うように躍動するビート感溢れるベース、そして、目には見えなくとも恐らくレコーディング中にも終始そこらを飛び跳ね、身をのけぞらせながらシャウトしまくっていたであろう、ペニーの半ば迷惑なほどリード・ヴォーカルに被る頓狂な響きと冷静なキーボードのエッセンスの対比が面白過ぎる。
冒頭の"ザッツ・ホァット・シー・セッド"は良質に耳に響くメロディと、ともかく疾走するギターが軽快にテンポを弾ませ、その後の"ラウル"の新鮮なシンコペーション、2度聴いたら即口ずさめるような分かりやすいメロディ。この曲といい、"リカヴァー"、"モンスター"と、楽曲に小気味良い「跳ね」を象徴するスタッカートが目立つサビが特徴的で、そこに加えて「え、何でここで?」と一瞬困惑してしまう、ペニーの奇妙でタイミングや流れを無視した叫びが、真面目なんだかウケ狙いなのかこちらが判断に窮しているのにも関わらず、そんなことはお構い無しに更に駆け抜けてゆくサウンドは誰にも止められず、どこにも見当たらない彼らのオリジナルだ。後半もダイナミックに暴れ続けるギター・ロックを軸に、彩りというよりもむしろアグレッシヴな音としてキーボードが全体のムードを上手く引き立てる"シリアスリィ・アイ・ヘイト・ユー・ガイズ"、ハード・ロックの様式に通じる印象的なイントロのギター・リフから、骨太でがっちりとした曲の枠の中に、ここではヴォーカル、アダムの頼れるごっつい、逞しい歌声を堪能できる"オン・ザ・キャンペイン・トレイル"。キャッチーな流れにギターとベース、ドラムが苛立ち紛れにかまびすしく絡む"バイ・マイ・サイド"。20才そこそこのエナジー炸裂な、迷いも躊躇もない勇ましいロックン・ロールが全編盛りだくさんである。
フジ・ロック最終日のレッド・マーキー・ステージにてパフォーマンスが待たれる4人の怒れて笑える戦士達。ギラギラした真夏の太陽の下、ボケた顔して口を半開きでいたら、疲れ知らずの彼らから暑中見舞いの一撃が飛んできますので期待と用心忘れずに。まずはこの1枚必聴です。
reviewed by kaori
|
|
|