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掴みそうで掴みきれない、あからさまな狙いを避けるかのようなひねくれたポップ・センス。ザ・フォールアウト・トラストのサウンドは、狂気と騒音を取り払ったミューズを想像させる一方で、他とは一線を画す曲作りであると意識的に訴えているような、クセ者臭さも感じられる。冒頭の"ウェン・ウィー・アー・ゴーン"は、カタカタとサンプリングの無機質な音に混ざる、やるせない響き漂うメロディが心を震わせるほど悲しくも美しい。ストリングスと巧妙に絡む乾いた音色のギター、躍動するベースが壮大なスケールを展開する"ビフォア・ザ・ライト・ゴーズ"。細かなスネアのイントロから、威厳あるヴァイオリンの音に導かれ、混沌とした山場へと徐々に盛り上がる"ウェア・ゼァズ・ノー・コールド・トゥー・フィール"。"ティー・ヴィー・エム"ではピアノとストリングスをバックに、どこか悲哀を帯びたボーカル、ジョーの歌声が空間を埋めるように広がり、"ウォッシュアウト"の息つく間も無く突き進んでゆく切れの良いギターと、流麗なメロディに体が自然と弾み出す。いかにもUKテイストを感じさせる、小粋な表現力が出色の一曲だ。
構築美と、こだわりが伝わって来る周到な楽曲構成。そこにはバンド全体の音として、こちらが思わず舌を巻いてしまうほどのストリングス、キーボード、ツイン・ギターが織り成すサウンドのアンサンブル、幅、深みと共に、ベース、ドラムがきっちりと土台を成し、それを輪郭として最終的にはバンドの顔が、いやサウンドが確かな形を帯びて見えてくるのだ。
何やらバンドは現在東ロンドンにある倉庫で共同生活を営んでいるという事だが、どうぞそういったアーティスティックな姿勢のままに、これからも今一歩のところで分かりづらい中級ポップ街道をひた走って頂きたい。
reviewed by kaori
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