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見掛けにだまされるな
このアルバムを聴いて思ったのは「すげえロックンロールじゃん!」。だけど、「本当にいいのか? これで」とも思った。だってインディーズからメジャーに移ってCD出すっていうことは、もっと売れることを意識して聴きやすくするもんじゃないの? このアルバムは、キャプテンズがインディーズで出した3枚のアルバムと比べ、はるかに生々しくて、荒々しいロックンロールが詰まっている。そうなの? と疑う人は、彼らの見掛けにだまされているのだ。
ジャケットを見ればヴィジュアル系のバンドみたいだし、ステージでは、失神とかダンス講座とかラブレターとか配っているから彼らを女の子向けの軽いバンドだと思われてしまうだろう。だけど、このソリッドな質感はどうだ。傷彦が「ひりひりするような現場の空気感。それを伝えたくて」と語るように、去年一年に113本のライヴをこなした重みが伝わってくる。このアルバムには、新曲の他に、"恋のゼロハン"を始めとして、インディーズ時代に録音された曲も入っているけど、そのどれもが、鋭く激しく改造されている。明るく和む"ひまわりの丘"ですら、ギターソロはザラザラした手触りになっている。この曲は、『青春花吹雪』に収められたヴァージョンと比べて、回顧的な歌謡曲が、初期のロッド・ステュワートみたいな70年代ロックの感じが漂ってくるものに変っていった。
それでもまだ疑う人は、"マドンナがくれたララバイ"のイントロや、"クレオパトラ・ブーガルー"のヒザシによるギターソロを聴いてみて欲しい。"マドンナ〜"のギターノイズからテッドのベースがスピード感あるリズムを刻み、ヨースケのドラムとギターがかぶさってくる瞬間、"クレオパトラ〜"の傷彦が「ワン!トゥー!」と叫んだ後の中近東風メロディを持つギターソロが鳴った瞬間、これらをまだキャプテンズを知らない人に聴かせたい。または、いきなり外国人に聴かせたら驚くんじゃないかと思うくらい素晴らしい。
これははっきりと言える。キャプテンズは昭和の歌謡曲やアイドル風の振る舞いをして、レトロなイメージがあるかも知れないけど、ミッシェルガン・エレファントやギターウルフやイースターユースやナンバーガールなんかが確実に彼らの中にあるのだということ。この荒々しい音は、それらのバンドを通過しなければ、絶対に出てこなかった音である。そして、これは2006年のロックンロールアルバムである。見せ掛けにだまされるな。
reviewed by nob
ライヴ・スケジュール
2/25 @ アップル・ストアー 仙台
3/05 @ 盛岡クラブチェンジ
3/12 @ タワー・レコード仙台
3/21 @ アップル・ストア名古屋
3/24 @ アップル・ストア福岡
3/25 @ 松山サロンキティ
3/26 @ 岡山ペッパーランド
3/29 @ 名古屋ell.FITS ALL
4/09 @ 心斎橋FANJ トゥワイス
4/23 @ 新宿フェイス
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