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カッコイイ。楽しい。最強。
2006年1月16日『Gaz's Rockin' Blues (Club Classics)』という2枚組みコンピレーション・アルバムが発売された。非常にありきたりの言葉だが、このアルバムを表すのに他に適切な表現が浮かばない。音楽のことについて詳しく知らなくても十分に楽しめた。ディスク1はリズム・アンド・ブルース編(26曲)、ディスク2はスカ・レゲエ編(25曲)。この2枚のCDを順番に聞くもいいだろうし、ポータブル・ハードディスク・プレイヤーに移してシャッフルして聞くのもなかなか面白いかも。大音量で2時間以上踊りっぱなしなんていうのもいいのでは。もちろん踊ることが目的なだけではなく、ここからいろいろと興味を持って学んでいくことは多いはず。普段なかなかこういった貴重な音源をまとめて(しかも楽しく)聞く機会は多くない。良い参考書みたいなコンピレーションだ。
日本にはフジ・ロックなどを通してギャズ・メイオールのライブやDJセットを体験した人は多いと思う。残念ながら、私にはまだ一度もその経験がない。彼に会ったこともなければ、ロンドンにある彼のクラブ「Gaz's Rockin Blues」に行ったこともない。モッズやパンクやスカやレゲエとは縁遠いところにいたし、クラブ(現代の)には良い印象はない。必要以上に大音量で流行の曲ばかりをダラダラ流すばかりで、飲んで騒ぎたいだけの若者の集まる退屈なところにしか行ったことがないためか。しかし、今回のこの2枚組アルバムを聞いて、おそらく昔ながらの「クラブ」のままであると思われるギャズのクラブに行ってみたくなった。「何これ?誰の曲?」と興味津々にDJブースを覗きたくなるような空間なのだろうか。
そんな彼のクラブは2005年に25周年を迎えたということで、昨年秋にはAceというレーベルから以前LPとして発売していたものに新たにライナー・ノーツを付け加えたCDを発売している。こちらはややブルース色の強い内容だったが、ギャズのコメントは興味深く、また当然なのだろうが羨ましい話も多い。それに英語が苦手な私でも読むことをためらわせない彼の文章は、今回のコンピレーションのライナー・ノーツにおいても同様で、決して退屈することなく、むしろ一気に読んでしまえるものになっている。聴くだけで終わらず、是非ライナー・ノーツにも目を通していただきたい。
肝心の収録曲だが、アマゾンに載っている曲目リストとは順番が異なるのでご注意を。
まず、ディスク1。1946年のArthur 'Big Boy' Crudupによる"I Want My Lovin'"という曲で幕を開ける。実はこの曲、エルビス・プレスリーが10年後に"That's All Right" というタイトルでカバーしたものだそうだ。続いてSonny Boy Williamson晩年のレコーディング曲"Polly Put The Kettle On"。New Churchという短命バンドがカバーしており個人的にずっとオリジナルを聞いてみたいと思っていたのでうれしい選曲だ。その後はずらりとアーティスト名も曲名も初めてのものが続いたのだが問題なく踊れるものばかり。すると22曲目に"One Scotch, One Bourbon, One Beer" というこれまた個人的な思い入れたっぷりの曲が。John Lee Hookerのバージョンが有名なのかもしれないが、ここに収められているのはAmos Milburnという人物によるもの。そしてがらりと雰囲気が変わりThe Kinksの"All Of The Day And All Of The Night" に突入。ボリュームが大きくなった。さらにギャズの父John Mayallのバンド、Bluesbreakersの"I'm Your Witch Doctor" へ(なんと1981年の大晦日のパーティーではJohn MayallとAlexis Kornerという英国音楽史上の重要人物二人がこのクラブで競演したのだそうだ)。1960年代半ばのブリティッシュ・ブルーズ・ブームの時代に進んだかと思うと、1975年のThe 101'ersというバンドの"Sweetie Of The St Moritz" という曲へ。聞いたことのある声だと思ったらJoe Strummerだった(収録された経緯はギャズのライナー・ノーツを参照されたし)。
ディスク2はスカやレゲエということで、曲目リストを見ると1曲目"Too Much Too Young" しか分からない。しかし結果的にはディスク1よりも聞いたことのある曲が多かったのが不思議。"Rudy, A Message To You" や"I've Got To Get Away" や"54 46 Was My Number" はバンド名が分からずとも今までに聞いていた曲だった。一番驚いたのは16曲目Jo Jo Bennettの"Canteloup Rock"。1967年というクレジットだが、1964年に発表されたHerbie Hancockの"Cantaloupe Island" のカバーだ。1992年から1993年にかけて大ヒットしたUS3の"Cantaloop (Flip Fantasis)"のサンプリング・ネタとしてのほうが有名だろう。オリジナルは一応ジャズなのだが、どう料理されてもカッコイイ曲だということがここでも証明されたような気がする。このディスク2、午後のひとときにゆったりとティー・タイムといった場合のBGMにも合うと思ったのだが、おそらくそれは全くスカやロックステディー、レゲエといった音楽の発展してきた歴史や背景を知らなさすぎるからかもしれない。まだまだ勉強不足。しかしながら、今までやや抵抗感を感じていたこれらの音が少し身近になったという点においても、今回のこのコンピレーション・アルバムに出会えてよかったと思う。
最後に、ライナー・ノーツからギャズの言葉を。上手く訳ができないので原文です。
"Anyone hearing these tunes for the first time I'm sure will be putting Thursday night at St Moritz, 159 Wardour Street, Soho, London W1, on their highest priority list of "things to do before I die"
.
I look forward to seeing you down there one Thursday night before too long. A date NOT to be missed."
ということで、行ってこようかな。「素敵なアルバムをアリガトウ」と言いたいし。
reviewed by miyo
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