Nat King Cole

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まるで天使のような歌声の奥に...


 レイ・チャールズが亡くなって発表されたのが、『Genius Loves Company』。そして、映画『Ray』の大ヒットで、『オリジナル・サウンドトラック : レイ』が、かつてなかったほど売れたなんて話も耳にした。映画がそれほど素晴らしかったかどうか... 筆者には多少の疑問が残るのだが、それがどうであれ、レイ・チャールズの音楽の魅力が今もヴィヴィッドに生きていることを、こういった結果が伝えてくれているように思える。過去の名曲はもちろん、どの曲を聴いても感動もので、年を重ねてもどこかでナイーヴな.. とも言える、ハートを失わない歌を作り出していった彼の才能は驚くばかりだった。実際、筆者が彼にはまったのはずっと後期のの作品で、『Just Between Us』。(なぜか、amazonでみつからない)ここに収められているラヴ・ソング「Over the top」という曲にはめろめろになったものだ。

 その大ヒットでかすんでいるかのようにも思えるが、アメリカの音楽史を語る上で、おそらく、最も重要なアフロ・アメリカンのミュージシャンとしてあげなければいけないのが、ナット・キング・コール。名前を知っていても曲を知らない... という若い世代も多いかもしれないが、「ペイパー・ムーン」や「モナリザ」あたりなら一度はどこかで耳にしたことがあるだろうし、メロディを聴けば「ネイチャー・ボーイ」といった曲もわかるはずだ。声のタッチが「白人みたいだ...」とか、ソウルっぽくないとか、そういったことをいう人もいるようだが、彼こそがアフロアメリカンのエンターテイナーとして、人種差別の壁を一番最初にぶち破った人ではないかと思う。

 と、それを教えてもらったのが、彼の没後40年を記念して制作されたこのドキュメンタリーだった。1910年代終わりにアラバマ州モンゴメリーに生まれ、「リンチにあわなければ幸運だ」といった土地からシカゴに移り、ジャズ・ピアニストとして頭角を現してきたこと、若干16歳でジャズ・ピアノの巨匠、アール・ハインズと「バトルをして」引き分けになった話... 本当はピアニストになりたかったギターの巨人、レス・ポールが彼との出会いでギターに転向したこと...そういった彼の人生の断片がさまざまな人々のインタヴューや貴重な映像を織り込みながら語られるというもの。単純に彼のライヴを楽しみたいという方にはおすすめできないが、ナットの抱えていた音楽の世界を、そしてその背景を含めて、比類なきアーティストとしての彼を理解するには素晴らしいドキュメンタリーだ。同時に、あの優しい歌声の奥に、実は、とてつもなく強靱な精神が秘められていたことも教えられる。

 以前、サム・クックのDVD『Legend』でも、同じような感慨を持ったのだが、このドキュメンタリーではナットが実際に、「肌に白い色を塗って...」テレビに出演した屈辱が語られ、その時の映像を見ることができる。あの時、本当は彼がどれほどの思いを持っていたか... そして、あまりに人気があるこということから、黒人ではじめてテレビ番組を持ち、彼と共演したいがために数多くの白人アーティストたちがこぞってここに出演したこと... それでも、誰ひとりとして「黒人」のナットと握手をすることもなければ、手を触れることもなかったという事実が語られる。声が聞こえるラジオだけだったならまだしも... でも、「テレビに黒人が出ること」が叩かれた時代だった。

 このドキュメンタリーを通して、アメリカではわずか40年ほど前まで黒人が人間として扱われていなかったことを思い知らされ、そんな状況のなかで彼がスターになっていったこと、そして、それが人種の壁を破っていったことに、音楽を愛する人間として感動せざるを得ないのだ。音楽、アーティストは、政治や社会の力学を遙かに越えて力強い。それを見事に証明してくれている。

 当然ながら、そういった政治的な、そして、社会的なことばかりが語られているわけではない。まず「音楽」ありきで、その力強さや美しさが、その全てを乗り越えていったことを、多くのミュージシャンや関係者の証言を下に知らしめてくれるのだ。彼の娘、ナタリー・コールから、カルロス・サンタナ(なんで?と思うかもしれないけど... だから面白い)クインシー・ジョーンズ、B・B・キング、スティーヴィー・ワンダーといったミュージシャン、女優のウーピー・ゴールドバーグに、キューバにまで影響を与えたということで、『ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ』で一躍スターとなったオマーラ・ボルトゥジョントあたりが「キサス、キサス、キサス」の裏話を教えてくれる。なんでも、訛りのあるナットのスペイン語がまた魅力だったらしく、「歌の魅力」を伝えようとしたナットは「彼は」を日本語でも謳っていあのだが、その映像もここには収録されている。

 ドキュメンタリーの本編は90分ほどで、当然のように、レアな映像が満載され、ナットの歌も楽しめる。加えて、本編では演出的な使用のされ方しかされていなかったインタヴューが、拡大版として収録され、挿入として使われていたオマーラとイブラヒムフェレールによる「キサス、キサス、キサス」も全て見ることができるし、ナットが「China Gate」や「St. Louis Blues」といった映画に出演したときの予告編など、60分にわたる映像を収録。いわゆるブラック・ミュージックの世界にとって最も重要な場所にいた伝説的アーティストとしてナット・キング・コールを再認識するのは最良の素材だと思う。



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