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The Decibels!
「寝起きの一発」として聞くのが気持ちいい。ただ、家を出るまでに一時間ぐらいの余裕があるか、ポータブルプレイヤーを持っていればの話だが。THE BOYSの"First Time"でいきなり面食らい、そのままポップに突っ切るかと思えば、三曲目の"Hey Little Girl"はその甘いタイトルにまるで似つかわしくない、雷鳴のようなギターリフから始まるガレージサウンドに、Get Hipレーベルから出てるんじゃねぇか、もしくはBilly Childishか、とついつい疑ってしまう。続く"Kiss Me Carolynne"のイントロに、JUDEのベンジー(浅井健一)に通じる部分を感じたり、どうにもこうにも先入観を木っ端微塵にしてしまう裏切りの連続。思わず長くなってしまったが、つまりは、次にどんな曲が来るか期待してしまい停止ボタンは押せなくなる、と言いたかったんだ。
ある程度THE DECIBELS!に対する免疫ができたところで、ロック系DJが血まなこになって探している入手困難な7inch『BEET THE MEATLES!』収録の、泣く子も黙るTHE BEATLESの"Please Please Me"がハードさを兼ね備えた極上ポップとなって炸裂する。カバーとなれば『LONDON NITE 01』にも収録されている"Windy"に触れないわけにはいかない。本家本元(THE ASSOCIATION)に負けず劣らず、絶妙なコーラスワークで聞き手を魅了する。最近やたら多い、カバー曲で一発狙って売れてやろうという魂胆がまったく感じられない。単純に「いいものはいい」から演っているのだ。
ほらほら、だんだんとメンバーのレコードコレクションが見えてきただろう? マージービート系がずらりと並び、ソフトロック、パブロック、モッズ、ガレージ、パンク、もちろんパワーポップも…。
「とどめ」の言葉は似合わない。最初っからショック療法を遠慮なしに施してくるのがTHE DECIBELS!なのだ。伊達にビックリマークは付いていない。
reviewed by taiki
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