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おそらく、カメラ1台で撮影したんだろう、始まりは、おなじみのサングラスをかけたライトニン・ホプキンスの顔のどアップで、いきなり画面は、道の真ん中にぽつんとおかれた椅子に座ってギターを弾きながら歌う彼の姿に変わる。歌っているのは『Lonesome Road』。「ひとりで寂しい道を行くのは、嫌なもんだ。ずっと旅をして、行く場所を求めてる...」という歌なんだけど、彼の後ろに歩いている人が出てきたりと、まともな場所ではないのは想像できる。しかも、演奏だけは流れながら、突然、黒人が卓を囲んでドミノをやっている光景が映し出されたりと、これはドキュメンタリーかなにかを撮影したときのおまけだったんだろうかと思わせるような映像が皮切りだ。
カバーの裏に書かれている解説以外、パッケージのなかにはなにも収録されていなくて、なにがなんだかわからないんだが、このDVDのタイトルがそのままだとすれば、60年に撮影された最も古い映像なんだろう。なにせ、ライトニン・ホプキンスが再発見されたのは59年。(多くのブルース・ミュージシャンは20年代後半に録音を残した後、30年前後の大恐慌で相手にされなくなり、極貧状態を続けていたという。そして、フォーク・ブーム、その余波によるブルース再評価を通じて、彼らのような伝説が『再発見』されていったといういきさつがある)
と、ここでその短い解説を読んでみると、ドイツ人の映画制作者がテキサスはヒューストンにあるライトニン・ホプキンスの家や近所のバーで撮影したものが最初の2曲だと記している。これが映像として残っている最古のものらしいのだが、その2曲目のライトニン・ホプキンスが渋い。ギターの弾き方がかっこよくて、アコースティック・ギターにロックを感じるし、実に、かっこいい!(まさ、そんなわけはないと思うけど、布袋氏のギターの格好はここにルーツがあるのかもしら... と思うほどにかっこいいということなんですけど)ただ、12年の3月生だから、この時点で48歳のはずなんだけど、実際の年来よりは遙かに老けてじぃさんのようなブルースマンに見えるってのはなぜなんだろうか。やっぱ、貧しかったからなのかなぁ。
と書き出したところで、パッケージの片隅をチェックすると、http://www.guitarvideos.com/dvd/pdf.htmに飛べばバイグラフィーやレアな写真もチェックできるというので、映画の理解できる方はその資料を読んでもらえれば今回ここに紹介するDVDの内容のみならず、ライトニン・ホプキンスの歴史も、けっこうわかると思うのだが、最古の映像と思われる前述の2曲に、67年のライヴが5曲と、ここまでがモノクロのギター1本による演奏。でもって、それから3年後、LAのテレビ番組で演奏したときの模様でが8曲収録されている、こちらはカラーで、ライトニン・ホプキンスが曲間にいろいろな話をしてくれるのが面白い。語りがそのままブルースって感じで、彼らの人生をかいま見ることができる。3歳の時に父親が死んだこと、『家には帰れよ』なんてオーディエンスに語りかけているシーンは、実にほほえましい。そして、レイ・チャールズの曲、『What'd I Say』をカバーしているのもびっくり。全く違うヴァージョンで、完全にライトニン・ホプキンスそのものなんだけど、レイ同様、彼も、存在自体がジャンルなんだと大いに納得させられる。
そして、最後の映像はオースティンでテレビ・ショーのもので、ライトニンがエレキ・ギター片手に、ドラムスとベースをバックにやっているライヴ。79年のもので、かなり派手な衣装にショーマンだなぁって感じの、好々爺って出で立ちなんだが、2曲目ではワウワウなんかを使って、ソロをやっているのが面白い。まぁ、彼がソロをやっているときに、白人の女が大あくびをしている光景が目にはいるのがたまらんが、最後に近づくと立ち上がってファンキーな演奏を始めて観客の反応もよくなったり... ライトニンがファンキーってのも、似つかわしくないかもしれないけど、彼がこの世を去る3年前のこの映像も輝いている。
ちなみに、ボーナス・トラックとして収録されているのが、やはり、60年の録画でニューヨークのテレビ局に残されていた演奏。これを本編の最初の2曲と比べるとライトニンが、年齢よりは老けて見えながらも、かなりはつらつとしているのが面白い。彼が演奏する周りを数人が囲っているんだが、時折アップされるのが結構な美人。(なんか、ジョーン・バエズに見えるんだけど、勘違いかなぁ)ひょっとして、この女性にいいところを見せようとしたのかしらと想像したりするんだけど、いずれにせよ、このボーナス・トラックはにくい。生ギター1本でもファンキーなブルースを聴かせることができるライトニンの姿をまざまざと見せつけてくれるのだ。
reviewed by hanasan
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