SORROW

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『Night of confusion』


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Lagrimas de Maria
TOKYO RODEO
Sorrow』(川村かおり)

 

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 再生直後、SORROWおなじみの真っ黒なバスが画面に滑り込んでくる。バス、フェリーと地球に接する移動手段をとり、また、だんだんと変わっていく土地の色をめいっぱい感じてからライブに望むという、彼らなりのツアーに対する礼儀がこの画面に現れている。そのかわり、今回の焦点は新宿リキッドルームのライブにのみ当てられている。過去の関連作品『696 TRAVELING HIGH』と『RODEO GIGs NIGHTs』は芯になるライブと、SORROWには欠かせないバスでのツアーという風変わりな旅、場所やオーディエンスによって毛色が変わる雰囲気に焦点が当てられた、いわばロードムービーだった。今回は一回のライブを通しで焼き付けたかったという欲求により、ツアー最終日(日本においてだが)のリキッドといういかにもロックな空間を感性によってセレクトし、腰を落ち着けたのだろう。だが、偶然にも『Night of confusion』がSORROW作品の新たな「冒険」としての意味を持ったのも明らかだ。この作品にはメジャーのロゴがない。新しい事に挑戦するときはいつもDIYに根ざした心意気を見せ、ニヤリとさせてくれる。こんなこと、メンバーやスタッフから教えられたわけではないし、私個人の憶測の域を出ないのだが、受け取る側の気持ちを尊重してくれるバンドだから間違いではないと思う。やりたい事をやる、のは何もバンドに限った事じゃないだろうから。「言葉」で教えてくれなかった皆さんにこの場を借りて感謝したい。

 "Dolly"はスローに始まり、狂乱へのステップを昇ってやがては叫びとなり崩れ落ちる。"Woe Rain"は兵隊の足音がMASATOのスネアから生まれ、YUICHIが増幅し、MOTOAKIのハードさを兼ね備えたギタープレイが弾が飛び交う戦場へといざなう。三人が逆説的に戦争の悲惨さを訴え、川村カオリが守るべきものを持つ一人として、慈悲に満ちた優しさを正攻法で訴えている。

 特に惹き付けられたのは、"Heaven's Door"の中盤、アップテンポになる直前の川村カオリの鋭い眼光が、獲物をにらむ黒豹のようであり、強烈だったことだ。confusionツアー同行二日目(仙台)の夜に見たジョーン・ジェット(ビデオ映像)の目とまったく同じ。少なくともあの時点の川村カオリはその目にやられていた、受け手だったはずだ。それを知っているからこそ、ほんの数週間で誰もが憧れる「射抜く目」を身につけたのは驚きだった。ひょっとしたらステージ上の本人は気づいていなかったかもしれない。だが、「混乱」の名を冠すこの作品の受け手から見るとかなり重要なショットで、SORROWに嘘がないことを今まで以上に強く認識させられた部分だった。

 最後には彼女がSEで流れていたBOB DYLANの"Knockin' On Heaven's Door "に誘われるがままステージに立ち、戦争で死に逝く者の気持ちとなって歌い上げる。オーディエンスにとっては嬉しいサプライズであったと同時に、いろいろな意味で名曲と呼ばれるこの歌の意味を考えるいい機会となったことだろう。

 SORROWの世界は黒であって、闇ではない。闇は光を全て否定するが、カメラのネガフィルムでもわかる通り、黒は光によって作られる。彼らが示す「混乱」の中にもオーディエンスの熱気や娘さんの純粋な表情が含まれていて、この世も案外捨てたもんじゃないな、と思わせてくれる。黒にこだわるSORROWには光という優しさが確かに存在しているのだ。


reviewd by taiki


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