OMAR SOSA & ADAM RUDOLPH

『Pictures Of Soul』
JOHN SANTOS - OMAR SOSA

『La Mar』
The official site of OMAR SOSA:
unknown
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2002年に僕が聴いたアルバムのなかでのベスト3は、"キューバのトレシー・チャップマン"と謳われた新世代シンガー・ソングライター、ジューサのファーストアルバム『YUSA』と、こちらは齢70を超えて初のリーダーアルバムとなる、ブエナビスタ・ソシアル・クラブに参加したベテラン・ベーシスト、オルランド 'カチャイート' ロペスの『Cachaito』、そしてLA在住のラテン・パーカッションの重鎮ジョン・サントスとキューバ人ピアニスト、オマール・ソーサのコラボレート・アルバム『La Mar』という、クバ・モダニスモな3枚だった。
海と題されるように、タイトル曲である"La Mar"は、静かな波音のオーシャンドラムとコラの美しい音色、そこに戯れるウミネコの鳴き声で幕を開ける。そしてレクイエムか、あるいは岬を邂逅する夜風のような女性ヴォーカルと、吸い込まれるようなソーサのピアノの柔らかな響き。どこまでも静かで、うっとりするほど美しく、心を洗われるような風景を豊かに表現してくれる。
ラテン/ジャズ・シーンにとどまらず、今、ソーサほどスピリチャルな情景をこれほどまでに豊潤に展開する表現者は、いないだろう。まるで、現在進行形の伝説になりつつある。アフリカのヨルバ族の信仰とスペイン系カトリックが融合したキューバの土着宗教であるサンテリアに精通し、バルセロナに移り住むことで、イスラムの儀式音楽グナワをルーツにしたアーティストのアルバムをプロデュースしたりと、当地のシーンとも積極的に交流をはかっているようだ。そして今年になって届けられたアルバム『Pictures Of Soul』は、ドン・チェリーやファラオ・サンダースとも共演し、70年代にガンビア出身のコラ奏者フォディ・ムサ・スソらとマンディンゴ・グリオ・ソサエティを結成して"ワールドミュージックのパイオニア"とも言われるパーカッショニスト、アダム・ルドルフとのコラボレーション。同じように、パーカッションとピアノのインプロヴィゼーションが軸となっている。
『La Mar』では、ジョン・サントスがアフリカから南米、カリブ海に至る様々な民族打楽器を駆使して、そこにコラやカリンバ、スティールパン、そしてアフロキューバンのトラッドを歌うヴォーカルが、とても繊細にだが、彩りを添えていた感があるが、『Pictures Of Soul』はいっさいの無駄を省いたように、とてもミニマルな印象を受ける。それでもクレジットを見ると、ジャンベやカリンバからタブラまで、アダム・ルドルフは実に様々な楽器を使っているし、ソーサはピアノの他にも、フェンダー・ローズやハーモニウムを演奏しているのだが、『La Mar』ではジョン・サントスとソーサの他に最低でもベース奏者が入っているのに対して、このアルバムには、アダム・ルドルフとソーサの2人だけしかクレジットされていない。
その無駄のない音の響きに、じっと耳を澄まさずにはいられない。残響の、最後の粒子の一粒が消えてしまうまで。優しく、柔らかく、豊かなピアノの響きと、ルドルフの吹くベルベル・フルートの嗄れた音色がとても印象的な"Eye Of The Blackbird"はロードムーヴィの1シーンのようだし、"巡礼"と題された、慎ましく、厳かで、暖かく、静謐なラストチューンは、味わい深い小説のようだ。日曜の午後、春の陽気に開かれた窓の外からは、近所の子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。そういう自分のまわりの身近な風景の音さえも、魅力的なサウンドトラックにしてしまう。闇までが寝静まってしまったような夜にはいっそうその幻想的な響きが際立つ。ソーサの紡ぐピアノの音色は、どこまでも優しく、深く、柔らかい。
そして、不意に響く鍵盤の一音に、様々な打楽器の表す情景の一瞬に、ハッとさせられる。いつのまにか、心を無にして聴き入っていたことに、気づく。
reviewd by ken
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