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どう考えても普通の光景じゃない。
ミッシェルにとっての日常、彼らがミッシェルとして存在する上での日常は当然4人が演奏している姿であって、全編ドラマで何かを演じるとかで彼らの魅力が十分に伝わるわけがない。だから彼らの曲がオリコンチャートにランクインして、テレビでPVが流れるとそれまでのどうしようもない音楽を数秒の間にかき消してくれる。
ミッシェルの魅力が演奏している姿ならば、彼らが"リリィ"や"バードメン"などで演じている姿はチバ、クハラ、アベ、ウエノという人たちがミッシェルというものを演じている姿なんだと思う。シャンプーにまみれている姿、歌詞のまんま「あふれかえるパスタの山」を4人でむさぼるように食う姿、クハラをボスとする地下の組織(飲んでいるのは湯飲みで緑茶)、どれも彼らがミッシェルであることが前提でないと成立しない映像だと勝手に思った。
「なにカッコつけてんだよ」とか思う輩にはそう思わしとけばいい。こちとら承知でヤツラの虜なんじゃい。パブ・ロックそのもの? だから? 洋楽至上主義者がなんぼのもんじゃい。幕張にどれだけの人が集まったか、どれだけすごいモッシュだったか。
演奏している姿がいちばんの魅力なんだから他の映像なんかいらんわとか思うが、他の映像は遊び心がいっぱいで楽しいから困ったもんだ。わけもなく巨乳金髪女がやたら笑顔で出てきたり、真面目に演奏しているのが安っぽい荒野のセットだったり……。リボルバーの弾倉を観覧車に見たてるなんて誰が考えたんだか。場末のストリップ劇場で演奏する姿なんか一歩間違えばどうしようもない映像になってしまうが、彼らが演るとダサいながらに決まってしまう。
ライブ音源そのままの"赤毛のケリー"は雨の中行われたTMGE YOYOGI RIOT! 2001523の映像を収録。「これ東映ぢゃん!」とつっこんでしまうPVも収録されているが、どっちがいいかなんて答えは出てる。雨で冷え切ったステージからはスモークだか湯気だかわからないほどに蒸気があがり、滴り落ちるのは汗か雨か。同じくライブ音源・映像の"ゴッド・ジャズ・タイム"もライブバンドであることを証明してくれる映像だ。
ボーナストラックとして収められているCMの映像にもこだわりが感じられる。ただPVを流すようなCMが多い中、別に撮られた映像やディレクターズ・カット映像などが使用されていて(編集の仕方もウマイ)、短い時間の中でかれらの魅力を十分にアピールすることができるCMがきちんと作られている。ミッシェルの映像作品としてきちんと成り立つPV集だ。
reviewd by taisuke
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