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ドラムの乾いた音から、二つのトランペットとアコギ、ペダル・スティール・ギター
が輪に加わって、いきなりラテンの雰囲気を醸し出す。多種多様な楽器を扱い、とめ
どなく広がり続ける世界観をうまく表現しているアルバム『Hot Rail』は、パンクや
ロックンロールを主として聞く私がズルズルと砂漠の蟻地獄に引きずり込まれてしまっ
た作品であり、なぜ、どうして買ってしまったんだろう? という自問自答すら許さ
なかったアルバムである。その先には、ラテン版竜宮城みたいなパラダイスがあり、
どうしても抜けだせない。単に気持ちいいだけでは終わらない静寂や哀愁、喧噪と情
熱が絶妙なタイミングで襲いかかって、聞く者を骨抜きにしては、ゆっくりではある
が一人ずつ確実にキャレキシコの世界へと引きずり込んでいく。自分に当てはまると
は思っていないが、ある程度ロックを聞き込んだ人が好む音かもしれない。
マイスティースやエゴ・ラッピン、さらにはくるりまでもがリスペクトする乾いた
音が、理屈抜きに体を揺らしてくれる。人によっては実験的サウンドに聞こえるかも
しれないが、それもまたバンドの一面だから、否定はできない。ただ、しっかりとし
たヴィジョンを持った曲だろうがセッションによって偶然できた曲だろうが、全て
がセピア色に染まっていて、パッと見では単色。しかし聞き込んでいくことによって、
味がでるというか、そのフィルターの向こう側にある赤や緑といった鮮やかな色がはっ
きりと認識できるバンドだ。
断言しよう。ロックを好む者は間違いなくハマる。ロックンロールバンドの登場SE
で考えてもらったらわかりやすい。ニートビーツが夕陽のガンマンで、ユダは太陽が
いっぱい、ミッシェルガンはゴッドファーザー・愛のテーマか荒野の1ドル銀貨だっ
た。映画音楽の代名詞的存在のニーノ・ロータやエンニオ・モリコーネ楽団などのも
つ雰囲気が時代を飛び越え、少しばかり南下したのがキャレキシコであり、映画的な
楽曲が目一杯つまっているのが彼らのアルバムだ。だから、封入されているメンバー
本人の楽曲解説はかなり具体的だ。
ここまで言うには訳がある。周りの人間に無理矢理貸したにもかかわらず、「いい!
」意外の反応を未だ聞いたことがない! っていう、すげーバンドなんだよなぁ。
reviewd by taiki
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