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前作アルバムでダブル・プラチナ獲得&デンマーク・グラミー主要6部門受賞。デンマークを代表するロック・バンドKASHIMIRの『ZITILITES』が発表された。
この手の音のバンド、レディオヘッドが97年に発表したOKコンピューター以来続々とでてきているわけで、KASHIMIRの音楽にはレディオヘッドがザ・ベンズで見せたグランジ・テイストのダイナミズム、OKコンピューターで見せたクールネスが同居している。トラヴィス、コールドプレイにも似ている。内省系UKロック好きは問答無用で気に入るだろう。
ただ、KASHIMIRは先に挙げたバンドの模倣ではない。彼らはレディオヘッド、トラヴィス、コールドプレイの音楽を再解釈し、再構築したのだ。このアルバム『ZITILITES』と真剣に向き合ってほしい。すると聴こえてくるのだ、感じるのだ。快楽の音の嵐が。美しい音の嵐が。
音の嵐とは時折見せる轟音ギター・サウンドであり、神秘的なギター・ストリングスであり、脳に直接打ち込まれてくる電子音であり、歌声である。全ての音のベクトルが一定の位置に集約し、これ以上ないバンド・マジックを形成し、全ての音が主張し、美に昇華されている。轟音ギターにしても電子音にしても、音そのものが美しいのだ。
「美しい音楽なんて他にも腐るほどある」だって? そう思うならヴォーカリスト、アイストローブの歌声に耳を傾けてほしい。彼の歌声、神秘的で幻想的であり、全てをやさしく包み込み、かつ、エモーションのかたまりである。少しでも主張しすぎたら曲自体壊れてしまうが、主張しなければ単なる凡庸なレディオヘッド・フォロワーになってしまう。その歌声を曲が壊れるか壊れないかのぎりぎりのところで歌っているのだ。それが物凄くスリリングでいてエキサイティング。そう、彼のか細く壊れてしまいそうな危うさを持った歌声がダイナミズムを生んでいるのだ。単なる美しい音楽と思われがちだが、実のところ、根底にあるのはスリリングなダイナミズムと歌声によるシンコペーション。そこに気付いたときには収録されている全15曲が終わっていた。
reviewed by takashi.
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