The Chemical Brothers

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「ケミカル・ブラザーズには興味がない」「テクノになんて興味ない」そう思っている奴に聴かせてやりたい音楽がある。それがこのカナダの人気ラッパー「K-OS」をフィーチャーした「ゲット・ユアセルフ・ハイ」である。そこから聴こえてくるのはエイフェックスツインやオウテカからは聴こえてこない全く別物のテクノ・ミュージックだ。

 聴こえてくるのはケミカルズ独特のダンスビート。そう、アンビエント・テクノやアンビエント・ハウスとは異質の攻撃的なビートだ。その攻撃的なビートをループさせ、徐々に徐々に盛り上げていき、人々が高揚感に浸っている瞬間、突然ブレイクビーツで音を空中爆発させるのだ。その音は人々の気持ち、つまり高揚感をも爆発させてしまう。さらに言えば音を空中爆発させる寸前に意識の奥に入ってくるような神秘的なシンセサイザーを鳴らす。アンダーワールドのボーンスリッピーを思い出してほしい。あの全ての人々が笑顔になる幸福感があり神秘的でもあるシンセサイザーに似てはいるが、やはりケミカルズ独特の音を低音の効いたダンスビートと共に鳴らすのである。そこには特有の浮遊感と文字通りダイレクトに響いてくる身体をも振動させるほどの音圧という相対的なものが同居するという不思議な感覚に陥らされる。本当に相対的なものだ、わけがわからない。だからこそ良いのだ。

 そして特筆すべきことは、これは完全に「歌もの」であるということだろう。ラッパー「K-OS」をフューチャーした曲であり、そのラップぶりがいかんなく発揮されている。このラッパーがいなければ、この曲の完成はなかっただろう。この「K-OS」リズム感、ちょっとした間の取り方、全てが絶妙。次に鳴るだろうとリスナーが予測した音とは全く別の音を歌い、そしてケミカルズも何の違和感もなくサンプリングしてしまうのである。実のところ、ケミカルズのやりたいこと、それはダンスミュージックの革命である。「革命なんて起こらない」そう思っている奴は聴けばいい。ケミカルズがこの曲でやったこと、それはダンス・ミュージックとヒップホップの融合などという陳腐なものではない。なんなのか? 音の化学実験である。この化学実験の結果をあなた自身の耳で確かめるべきだ。それは凄いことになっている。


reviewed by takashi.
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