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目を閉じたまま、見てみたら?
再生ボタンを押すと、いきなり一曲目 "ドロップ" が流れ、途方もない数のオーディエンスの手や頭が映し出される。明らかに同じ場所にカメラマンはいる。ゲストで入った者にはわからないかもしれないが、俺はチケットを買って、いちオーディエンスとして、うねりのど真ん中にいたからよくわかる。とんでもない圧力で前後左右に振られ、いつはじき飛ばされてもおかしくない状況だった。みんなもそうだっただろう?怪我しなかったのが不思議だわ、とか思わなかった? 俺、思ったもん。
あのヤバすぎる状況下で手を固定できるわけがないし、当然ぐるぐると画面はブレる。その先に小さく映るメンバーの姿があるだけなのだが「どうなってんだよ、この映像」なんて微塵も思わない。何よりもリアルだから。ファインダーなど見れないし、しゃっちょこばったゲスト席などではなくて、オーディエンスと同じ立場に身を置くほど気合の入ったカメラマンは、きっとカメラをほったらかしにして、肉眼でミッシェルガンの最後を見ていたに違いない。だからこそ純粋に「もう一人の主役」であったオーディエンスの目線だと言えるし、煙るほどの熱気をあますことなく伝えることが出来ているのだ。
バッサリ言い切ってしまえば、このショットは海賊盤のライブビデオと何も変わらない。ライブCD『LAST HEAVEN'S BOOTLEG』のタイトルは、このDVDにこそふさわしいと、ド頭の映像で思ってしまった。「画面に多少乱れはありますが、ライブの雰囲気をうまく閉じ込めたオーディエンスショットです。マスト!」みたいな、ちょこっとした解説文を探してしまったじゃないか。「BOOTLEG=海賊盤」という部分から、話は一気にアンコールまで飛んでしまうが、まさしく "ジェニー" の「すべてが渦巻くつむじ風 ドクロ旗なびかせ…」の言葉通りだった。
行った人間ならば(LAST HEAVEN を忘れるはずがないということを前提に言わせてもらうが)、輪をかけて、体に残った痛みまでも思い出させてくれるだろう。逆に、どうしても行けなかった人も感情移入してしまう映像だと思う。もちろん、メンバーの表情をアップでとらえた映像や、各々のステージングもとらえられている。ただ、この曲でどうのこうの…、とはあえて言わないでおく。あの日起こった出来事を順番に見て、はじめてメニューに飛ぶことが許される作品だと思うから。radがそこは書いてくれているし、ヒントが欲しい人はそっちの方も読んでみたらいい。何が言いたいかっていうと、これほどの作品はヒントなしで、盲目のままDVDを見てもいいんじゃないか、ってことだ。
とりあえず見てみ、絶対停止ボタンは押せないぞ。
reviewed by taiki.
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