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あの場にいた人には、一人残らずこのDVDを見てほしい。素晴らしいカメラ・ワークは、モッシュで起きた地面の揺れまで感じさせてくれる。それだけじゃない。汗とアルコールのにおい、涙と鼻水でぐしょぐしょのしょっぱさ、息苦しさやのどの渇きまで、あの瞬間の全てが甦ってくる。会場では音響の悪さが気になった人もいたようだけど、ヘッドホンで聞く限りそれは解消されている。まさに決定版だ。
DVDをプレイヤーに入れると、メニューもでなければ、レコード会社のロゴもでない。いきなり"ドロップ"。そして、カメラの視点はスタンディング・エリアからステージを見る観客のそれだ。無数にあがる手、前で飛び跳ねる頭。その間からメンバーを探そうとするあなたが、曲間に必死にメンバーの声を叫ぶあなたが、ここにいる。
もちろん、カメラは誰よりも近い距離でもバンドを映し出す。チバの汗がしたたり、マイクに飛ぶつばが見える。メンバーのちょっとした仕草や表情など、あのときは気が付かなかった新しい発見もあるだろう。
どこを切り取ってもすごい映像だが、無理やりこのDVDのハイライトをあげるとすると、
・ チバの叩くタンバリンに、観客の手拍子が重なるところ
・ "リボルバー・ジャンキーズ"のブレイクでのかけ声
・ "ジェニー"の冒頭のチバ・ダンス(かわいい)
・ "世界の終わり"
だろうか。とにかく、"エレクトリック・サーカス"後の、何かを振り切ったような4人の表情がとてもいい。
楽器をやっている人や、これからバンドを始めようという人にもぜひ見てもらいたい。繰り返し繰り返し見て、クハラのテクニックを盗むのも、ウエノのアクションを真似るのもいい。でも、なによりもこの4人のステージでの生き様を見てくれ。"深く潜れ"と"カルチャー"の間で聞ける、他の誰とも比べることのできない、アベさんのギターを感じてくれ。
もちろん、始めてミッシェルを見る人にも絶対にオススメしたい。あの日聞きたかった曲をあげればキリがないが、一回のライブとしては、選曲、曲順ともにベストだっただろう。ラスト・ライブが入門編なんて変に聞こえるかもしれないけど、本当にすごいから。バカでかいホールに充満する観客の熱気。鳥肌が立つよ。
さて、ライブ後の余談をひとつ。スマッシュUKのスタッフ、ジェイソンは、ライブが終わってすぐ、「こんなすげえロックンロールのライブ、今まで見たことねえよ」とまくしたててきた。このジェイソン、ミッシェルのアナログ盤はもちろんコンプリート、しかもこのラスト・ライブのためだけに日本に滞在していた生粋のミッシェル・ジャンキーなんだけれど、実はブリティッシュ・ブルーズの神様と呼ばれている、ジョン・メイオールの息子でもある。だから彼がエリック・クラプトン、ピーター・グリーン、ミック・テイラーの演奏を間近で聞いていたのは簡単に想像できるし、小さいころはポール・マッカートニーが家に遊びに来たなんて話も聞く。そんな彼を虜にして、さっきのコメントまで言わせたバンドの最後の記録だ。ぜひ手にとって見て下さい。
reviewed by rad. |
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