ナラ・レオン
 

ナラ・レオン

美しきボサノヴァのミューズ
 

 

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"ナラ"(64年発表 : 21歳のナラ・レオン、デビュー作)
"美しきボサノヴァのミューズ(完全盤)"(98年CD化)
先日、近所のカレー屋に音楽好きの友人と行ってきた。なんてことはない、ごく普通のおじちゃんおばちゃんが運営している小汚いカレー屋である。そこで次のような会話をした。

「最近何聴いてんの?」

「ボサノヴァかな」

「え? お前ロック好きだったじゃん」

「最近まったりしたいんだよね」

「なんだよ、ボサノヴァなんか聴いて男らしくねえなあ」

ここである。

「男らしくない」

 "男らしい音楽"の定義など知らないが、それでもボサノヴァからはいわゆる「オシャレ感」が感じ取れる。良くも悪くも、もしかしたら悪い部分が大きいかもしれないが、ボサノヴァにはオシャレというイメージが付いてしまった。数年前、日本で流行った「カフェ・ブーム」ではお洒落なカフェでボサノヴァが多用されていた。そのイメージから“男らしくない”という言葉が出たのだろう。

 そこでナラ・レオンである。彼女は“男らしく歌うこと”を意識した女性ボサノヴァ・ミュージシャンである。「別に男らしく歌わんでもいいじゃないか」という意見もあるだろうが、ボサノヴァはリラクゼーション・ミュージックと捉えられているし、僕もそう捉えている。リラックスする為に聴く音楽は高音が主張してはいけないようだ。低音が心地良く響く程度でないといけない。そのことにナラ・レオンは気付き、男性的声法を真似ていたのではないだろうか。事実、この『美しきボサノヴァのミューズ』は耳につく音がほとんどない。安心して聴くことができるリラクゼーション・ミュージックである。彼女が奏でるどこか曇ったようなダークなトーンのボサノヴァを聴いてみれば、オシャレというイメージも少しは変わるのではないだろうか。

 そのボサノヴァも出身地ブラジルではすでに死んでしまったらしい。ブラジル人に「ボサノヴァ好きですか?」と尋ねると、「ボサノヴァってなあに?」と返されるようだ。一つの音楽文化が死んでしまうなんて哀しい話じゃないか。ナラ・レオン自身も89年に亡くなった。惜しい話である。

 友人とカレーを食べているときナラ・レオンが流れた。「あ、ボサノヴァだ。ナラ・レオンっていう人」と僕が言うと、「風景に似合わねえなあ……」と友人はスプーン片手に首を傾げた。

 ボサノヴァ、そしてナラ・レオンは死んだのか? いや、生きている。なにせ、こんなオシャレとは程遠いカレー屋でも流れているのだから。


reviewed by 田中喬史.
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