RAGE AGAINST THE MACHINE
 

Rage Against The machine

photo by fujirockers.org

『Live at the Grand Olympic Auditorium』

期間生産限定国内盤(CD+DVD)
国内盤
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The official site of
RAGE AGAINST THE MACHINE is
http://www.ratm.com/

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 計らずしも最後のライヴとなってしまった2000年9月12、13両日、当初からレコーディングを目的としてLAのグランド・オリンピック・オーディトリアムで行われたライヴを収めた、RAGE AGAINST THE MACHINE初のライヴ・アルバム。それ以上に、アメリカでは単体パッケージとして同時にリリースされたDVDが、日本ではCDの初回限定版のみセットになっていることが目玉だろう。(そこにどういう営業的な思惑があったのかは知らない。バンドとしての絶頂期に突然の解散を発表してはや三年。もはや過去のバンドに極東の地ではそれほどセールスは望めない、ということかもしれない)

 DVDには、この時演奏されたもののCDには収録されてはいないCYPRESS HILLの"How I Could Just A Kill A Man"のカヴァーが収めれているのだが、そのCYPRESS HILLからウィルBとセン・ドッグの2MCが客演。ザックと息の合った、ヘヴィな演奏に乗っての貫禄のライミングは、今から10年ほど前、ICE CUBEやICE-T、NWAといったギャングスタ・ラップ全盛時に登場した時の鮮烈な印象と、彼らのラティーノとしてのバックグラウンドを思い出させる。揃いの『LATIN THUG』のTシャツはご愛嬌なのだが 。(それはザックが右腕に巻いた黒字に赤い星の腕章や、トム・モレノのアンプにペイントしたチェ・ゲバラと同様の意味をもつのだろう)

 だが、この怒りの銃弾のような三人のライミングや、大木をなぎ倒すナタのように重く鋭い演奏以上に印象的なのは、二階席でリリックを狂ったように絶叫している黒髪のヒスパニックの女の子と、最前列で柵にもたれながら幸福な笑顔を浮かべてステージを見る日本人の女の子。その対比だ ー その場に相応しいのはどちらか、言うまでもない。

 そしてこれもDVDにのみ収められている、LAのステプルズ・センターで開かれた大統領予備選を前にした民主党大会にプロテストするためのフリーコンサートの映像。何十台もの白バイや騎馬警官、フェイスシールドと防弾チョッキに身を包んで、警棒、催涙ガス、ペッパーガス、ゴム弾を発射する暴動鎮圧銃を手にし、ストリートからビルの屋上まで隈無く警備する警官隊。民主党支持者なのか反対団体なのか『No More Bushit !』『Never Erect Son Of A Bush』と書かれたプラカードを手にする人々。顔に『Fake Democracy』と塗られたアル・ゴアの人形。鼻と口を黒い覆面で覆い黒い旗をかざす女の子。ガスマスクを被ってデモする人々。「これはあなたのための党大会ではなくて、やつらのためのものだ」と抗議する男性。Battle Of Los AngelesのTシャツを着たキッズの脇を、整然と警官隊の黒い連なりが行進する。

 頭上にLAPDのヘリが旋回するその真下で、ステージ上では"Bulls On Parade"の浮遊するようなギターのイントロに乗せて、ザック・デ・ラ・ロチャが演説をぶちかます。

 「ブラザーにシスター、民主主義はハイジャックされた。ブラザーにシスタ?この国の俺たちの選挙の自由は終わった。大間違いだ、みんな大企業が牛耳ってるんだ。ブラザーにシスター、民主党や共和党に俺たちのストリートを支配されてたまるか」

 その結果は? 2000年の大統領選において、最終的に大統領を選んだのは共和党員のマイアミの地方判事だった。『FOR SALL DEMOCRACY』と書かれたプラカードや、頭のなかをくり抜かれた候補者の人形や、×印をされたWTOのマークや、メキシコ国旗や、フセイン政権以前のイラク国旗や、焼かれた星条旗や、スケボーが掲げられ、"Sleep Now In The Fire"のリリックを取り憑かれたように絶叫するメヒカーノ。いたるところでモッシュが起きる様はまるで台風が大量発生した気象図のようだ。ドキュメントとして目にするのは、権力に怒りをぶちまけてきたバンドの姿以上に、突き上げられた拳と中指の数と、叫ばれた名もなき声だ。

 だがこのフリーコンサートでさえ、MTVが全米に中継した。それから約二ヶ月後、グランド・オリンピック・オーディトリアムのライヴからほぼ一ヶ月後の10月18日の朝、ザックがメンバーに電話で脱退の意を伝えたと言われるが、その直前にメディアでは「今後、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンとしてこれまで行ってきた政治的なスタンスは控えて、新たな表現を模索したい」というトム・モレノのコメントが流れていたように記憶している。なにかが変わったのか。

 9・11は、その解散から一年が経とうかという時期だった。直後、全米のテレビ局、FM局が決定した自主規制曲の、ジョン・レノンの"Imagine"や"Give Peace A Chance"をはじめ『国民感情的に相応しくない』とされたいろいろなアーティストの200曲以上にわたるリストには、ただ一行、All songs of RAGE AGAINST THE MACHINEと記されていた。そして名もなき声の主たちがなんらかの行動を一番期待した時期、彼らは沈黙を通した。ザック以外の3人は、文字通り音の奴隷に成り下がってしまったというのか。ギターアンプにペイントされたゲバラの肖像は今では、流行りのキューバ・レストランの内装として壁にウォーホル風にペイントされているのと同じくらい、滑稽に見えてしまう。

 ドキュメントとして事実は残るものの。


reviewed by ken.
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