|
|
シンプル・イズ・ザ・ベスト
「良くも悪くも普通だな」。それが第一印象でした。なぜそう思ったのかというと、やはり「シンプルだ」という言葉に尽きると思います。この『the white stripes』はギタリストが一人、ドラマーが一人、というメンバー構成です。
「シンプル・イズ・ベスト」とはよく言うけれど、音楽の場合、これが中々難しい。なぜなら楽器を減らしたり、シンプルにすればするほど音に含まれる情報量は減ってくるし、できることも制限されてきます。そしてリスナーの多くは今まで聴いたことのない音楽を求めていると思います。ときにリスナーや評論家の評価の対象が「いかに難しいことをしているのか」に向けられることも多々あります。例えば『the beatles』の『sgt. pepper's lonely hearts club band』を語る際に、「サンプリング・ミュージックのたまものであり、今までに無かった音楽だから素晴らしい」だとか。『the beatles』は好きですが、難しいことさえしていれば良い音楽だっていうわけじゃないのに。前述したように音楽にのめり込んでいる人の大部分は刺激的なものを求めているように思うんです。
そこでポンっと登場したのが『the white stripes』。「あれ?」って感じじゃないですか。ロック・フォーマットに則ったものだし、ストレートなロック・ミュージックと言っても間違いじゃない。
でも、この『elephant』を「新しい音楽」だとか、「難しいことをやっているのか?」という観点とは別の視点から聴いてみると面白いんです。
工夫をしているし、難しいこともしているけど、何よりも要らないものをいかに削ぎ落とすかを追求した音楽だと感じます。すると面白いことに、音を出す前にアンプから聴こえてくるちょっとした雑音だとか、息遣いだとか、息継ぎだとか、逆に音楽に要らないと思われているものが聴こえてきます。シンプルに削ぎ落とすことで生身の『the white stripes』が浮かび上がってくる。目を瞑るとまるで『the white stripes』が目の前で演奏しているかのようです。 シンプルにするほどギター一本の音の重要さだとか、ベース音の重要性が浮かび上がってくる。そしてその音を最大限に効果的に鳴らしているのが『the white stripes』なんです。
下手にがんばって化粧したりオシャレしているよりも、自然な状態の方が綺麗な女性っていますよね。まさに、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」。
reviewed by 田中喬史 photo by izumikuma. |
|
|