監督 : アンドルーシャ・ワディントン

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映画"小さな楽園"
2000年制作 : ブラジル映画
(配給 : シネカノン)
監督 : アンドルーシャ・ワディントン
出演者 : ヘジーナ・カセー / リマ・ドゥアルチ / ステーニオ・ガルシア
銀座シネ・ラ・セットにて12/13より都内独占公開
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過酷な自然、その中で豊穣な大地のようにコロコロと父親の違う子供を産み落とす女、そして彼女の為に男達の取る選択。
ブラジル/実話ベース/貧困と向き合う生活、とくれば「シティ・オブ・ゴット」が記憶に新しい所。でもあのスリルと過剰さとは無縁。抑えられた色調、音楽、余分な物の削ぎ落された世界。地図で見ると改めて広大さに驚くこの国の違った側面を感じさせてくれる。
「シティ...」で普段は従順な人妻が出来心の浮気の為亭主に殺害される、といったエピソードがあったが、やはりブラジルも男性優位。人種や文明の坩堝といっても元植民地のカトリックの国だし。「私の小さな楽園」での一妻多夫状態は奇跡であり、だからこそ映画の題材と成り得た訳だけれど、ヒロイン、ダルレーニの夫の駄目振りは結構見事。
自分が女房なら一月持たないだろうワガママ亭主、ハンモックに陣取りラジオを抱えて命令するばかりのオジアス。男達に一人混じっての過酷な肉体労働、押し付けられる全ての家事、愛する子を手放さざるを得ない暮らし。精神的渇きに他の男に求めてしまうダルレーニ。
わたしは未だに相手の価値を年令、性別のみで量ろうとする中身の無い男は苦手で、知り合ってすぐ「九州男児」と言いたがる人は「だから何だよ俺の前を歩くなってか」と返したくなる(九州の人自体が嫌じゃないの)。
明らかに別の父親を持つ子供達が産まれる度当惑し、怒り、傷付くオジアスを目にするのが可哀想なのと同時に痛快だったりもして。
彼女に少年のような表情を向ける、オジアスの従兄弟で女性的なゼニーニョ、若く逞しい流れ者の労働者シロ。二枚目シロまでがどうしてこんなオバサンに?って思いもしつつ。
「運命の女」からも「ビッチ」からも遠い、余りに大らかなヒロイン。性描写のいやらしく無い事!彼女の振る舞いが波紋を投げながら赦されてしまう理由。
何もせず(出来ず)ただ自分が家長という事を口先で主張するだけのオジアス。この関白気取りオヤジの、妻の為に「いざ」、という決めの黒い帽子姿が、だからこそやけに愛おしい。
ブラジルの田舎の風景の中流れるはジルベルト・ジルの音楽。職人に徹しながら聴かせてくれる美しい曲の数々。ロケの中心はあのジョアン・ジルベルトの故郷だそう。過酷ながら闇までも柔らかい。
一人の女、三人の男、無邪気な子供達、大地のような彼女を中心に回る少し風変わりな愛の世界。しみじみと味わう大人の為の優しい物語。愛される女は必ずしも美しい花の姿をして必要は無い。
デートにもお勧めしてしまう。
reviewed by chihiro.
*銀座シネ・ラ・セットにて12/13より都内独占公開
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