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「勝手」は小説よりも奇なり」
勝手にしやがれ new maxi single『COMEDY』は聞いた方がいい。ジャズが好きか、それなら勝手を聞こう。 ロックンロールが好き。なるほど、じゃ聞こう。パンクロックを聞いている、当然マストアイテムだ。ヒットチャートが気になる人、こちら側の世界に足を踏み入れてみないか。きっと抜けられないはずだ。部屋の大掃除をしている光景が目に見える。いきなり素人みたいなことを言い出して申し訳ないが、他に言葉があるか? ダイナマイトで脳天を吹っ飛ばすと宣言しているバンドだ。脳漿撒き散らして快感に埋もれることは決して恥ずかしくない。むしろ誇るべきことだ。
ロカビリーやパンク、パブロック、スウィング、ビーバップ、etc…。通ってきた音楽をすべて取り込んで、バンドの完成型ともいえる音がプレーヤーから流れ出す。カテゴライズするにはあまりにも多彩(多才)すぎて、どう見積もっても「勝手にしやがれ」としか形容できないバンドだ。だが勝手のメンバーの向上心はとどまることを知らないから、今のうちに買っておくべきだ。買ってこの先起こるであろう変化を楽しみつつ「新譜はまだか、まだか」といじらしい気持ちを共有しようじゃないか。
『コメディー』は客観的につとめている歌詞が、きわめて冷酷に、唯一登場する主人公=「憐れな男」をリアルに映し出す。主人公の境遇よりも、ドライに徹することによってすんなり受け入れられる歌詞を生み出した武藤昭平(Vo/Ds)のほうが恐い。「触らぬ神に祟りなし」という言葉を造ってしまった日本人を軽快なリズムに乗せて皮肉っている。憐れなのはどっちだ、ということだ。
『404』は都会の喧騒を見事に映し出している。日が落ちれば、昼間は無機質でおとなしい人間も豹変してしまう。警察24時の世界が出現し、事件も起こる。朝日が昇るのは4時4分、それまでは安心できない。(これは筆者の“勝手”な想像ですが)
今にも物語が始まりそうな『ダーティー・ワーク・ブルーズ』のイントロで、まずもっていかれる。名曲だ。自虐的に綴る歌詞はひたすら痛い。この曲の世界で映画が一本作れる。ただし、白黒だ。でないと似合わない。ぜひ映画化を希望します。
『ビッチ(LIVE AT FRF '03)』まるでライブがあるまで腰をウズウズさせとけ!と言っているかのようだ。まさしくその通りで、ライブこそ勝手の真骨頂だ。予習という意味で聞くべき。フジロック音源であるところに、意味がある。
浸って聞くもよし、頭を振って暴れるもよし、BGMとしてももちろんアリだ。ただ、寝る時にはお勧めしない。いつまでも聞いていたくなるから。三大欲のひとつである睡眠欲の妨げになるのは、ズンドコ鳴るドラムだったり、鼓膜の端っこを刺激してやまないホーン隊のせめぎ合いだったり、聞けば「なるほど、眠れるわけがない」と納得させるだけのヴァイヴを内包している。
七人のザンギリ頭の男たちを知ったらライブに行きたくなるし、まわりに言いふらしたくなる。逆に言いたくない、自分だけの中に留めていたいという人も出てくるかもしれない。それはあまりにも悲しいことだが、安心しろ。代わりに俺たちが言いまくってやる。皆で外堀から埋めてしまおうぜ。
reviewed by taiki.
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