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アメリカでは、日本のリンドバーグみたいな編成のバンド、つまりは"ヴォーカル"だけが女で他のメンバーは全員男"という形態を取るバンドは売れないと云われている。主にこれはアメリカ産のバンドに当てはまる。実際、90年代以降のアメリカのロック・シーンにおいて上記のような編成で売れたバンドと言うのはNO DOUBTとGARBAGEしかいない。"Dreams"の大ヒットで有名なTHE CRANBERRIESも同様の編成のバンドではあるが、コイツらはアイルランド出身。まぁ、そりゃチョットくらい話題を集めたバンドは居たんだろうが、前述の2バンドみたいな大ヒットを飛ばしたバンドが存在したかと言えば、やはり"NO"である。前置きが長くなったが、ここで紹介するEVANESCENCEは、そんなリンドバーグ編成のバンドとしては久し振りに全米で大ヒットを記録している期待のニュー・カマー。
巷では"女性版LINKIN PARK"てな感じで騒がれているみたいだが、そのサウンドにヒップ・ホップやハードコアの要素は殆ど感じられず、LINKIN PARKのそれとは似て非なるもの。全然アメリカのバンドっぽくない、欧州的湿感をたっぷり含んだサウンドを身上としているのだが、とにかく、そのメロディーの煽情力たるやハンパじゃない。ゴシック的とも言えるそのダークで憂いを帯びた旋律から紡ぎ出される狂おしいまでの哀感は否応無くこちらの胸を締め付けてくれる。飽くまでサウンドの中心に在るのは紅一点エイミー嬢の"歌"なのだが、彼女の妖華の如き美しい歌声はその叙情的なサウンドを艶やかに彩っている。その歌声はとても新人とは思えない程の存在感を漂わせており、"華"さえ感じさせている。心の闇を率直に描写した歌詞も、そのダークな世界観を見事に演出している。また、そんなダーク&へヴィな音像でありながら、一般大衆にもアピールし得る説得力を持っているということも現在のヒットの一因だろう。
最近のアメリカから、ヨーロッパへの憧憬を露わにした音を出すバンドが次々と現れ始めているが、このEVANESCENCEの大ヒットは、そんな時代の新たな息吹すら感じさせる。冒頭で述べたようなジンクスを吹き飛ばした事も然ることながら、この「FALLEN」というアルバムはそういう意味でも非常に興味深い作品だ。
昨今の類型化したアメリカのロック・シーンの中で一際異彩を放つEVANESCENCEのサウンドは、非常にユニーク且つ魅力的だ。その音は皆に広くアピールして然るべき逸品。その芸術的で耽美な音世界は僕をいたく魅了して止まない。私的本年度ブライテスト・ホープの最右翼である。
reviewed by 太田一幸.
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