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このCDジャケットを一目見て気に入った。理由は二つある。
まず僕の想像する未来がそこに描かれていた。土のようなモノで作られた恋をするロボット。ちょっと昔に植えられた背の高い街路樹。そして全てのモノから「終わり」の匂いがする。
もう一つの理由。それはジャケットの世界の夕方がとても綺麗だということ。個人的に空が一番カラフルになる夕方が好きだ。夕方の空には何でも映える。得体の知れないモノが動き出すなら、夕方にしてほしい。
小説家遠藤周作は、エッセイの中である料理人の話を例にとり、対談・会話の中でのリズムの重要性を書いている。
「Aという料理の後にBという料理を出す場合、AとBとには必ずリズムがなくてはならぬという。Aを受けてBがあり、Bがあればこそ次のCが生きる。(省略)これは小説作法でも対話術でもいえることだろう。話しが堅くなったら、少しゆるめる。ユーモアある内容に切り替える。しかしいつまでもそれだけではない。そのあと、しまった話しを持ってくる。」
たとえ五つ星レストランのシェフが作った料理だとしても、同じ味だけを食べつづけたら、嫌になるだろう。そのもの自体が良くても、やはりどこかで変化がいる。"変え時"を点で突いてくる人が一流なんだと思う。このアルバムは、ここしかないという点で曲調を変える。まさに職人技。そうすることで一つ一つの曲がさらに輝き、全ての曲が一つの作品として素晴らしい物になる。
次に歌詞をじっくりと読んでみた。そうすると二つ面白い事に気付いた。
まずほとんどの歌詞が、現在形と過去形で書かれていること。現在形と過去形で歌詞を書く事で、登場人物を今(時間の流れの中で一番先にある時間)の置くことが出来る。またそうする事で、時間の流れ(過去)を作ることが出来る。音楽で時間の流れを表現するとなると、曲順がそれにあたると思う。曲が終わる度に、その曲は次の曲に包み込まれる。更に言うならば、一言一言が次に起こる今の"モト"になる。これにより、曲と曲の間に切り離せない関係を待たせることが出来る。
そしてもう一つ。このアルバムには"I"という登場人物がしっかりといること。"HE"でも"YOU"でもない"I"という人物が、自分の過去、願い、目で見ている景色を語る。まるで独り言のような歌詞。そこには、誰かの代弁者としての形はない。"I"がはっきりとそこに立っている。
ドラム・ベース・電子音等で、風景や何かの出現といった、視的イメージを表現し、メロディで"I"の心理を表現している、このアルバムは立体的に浮かび上がる。曲と曲の間に離す事の出来ない関係がある、このアルバムを、ライブという別の形でどう表現するのか見てみたい。
最後に素晴らしいアルバムを作った、The Flaming Lipsと全ての関係者に感謝。
reviewed by yohsuke.
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