Goldenboy with Miss Kitten

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"or" (Ladmat2000 / illustrious)


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--金太郎が説く「かわいい」と逸脱の心理--

「かわいい」の世界はさかさまの世界だ。弱ものが力をもち、強いものを惑わせる。小さいものが大きくなり、間違った物が、正しくなる。恥ずかしいものが大切なものとなり、恐ろしい物が愛らしいものになる。

 'or'モの主人公は一人の「かわいい」少女だ。年の頃は、14歳ぐらいか。少女は、メタモルフォーセス(変態、変身)のまっただ中にいる。夢見心地な少女趣味と、思春期の屈折した欲望の対象とのあいだの埋められない溝に傷付く少女のいらだちと欠落感は、まるでファンタジーのように大人を誘惑する。現代画家のカレン.キリムニクの真っ赤な苺を意味ありげに口に含んだアイシャドーの濃い少女や、リスの死骸を前に秘密のポーズを取る女の子の絵のように、純粋なものが、不純なものに倒錯されていくときの無知ゆえの野蛮さは、冷たくて、怖かわいい。そして、その時期の少女がとる、合理性と能率を旨とする大人社会の規範から逸脱した行動は、「かわいい」のだ。日常からの逸脱の意志を持つ小さきものたち。それをこのまま手に入れることができたらという大人の残忍な夢が、このアルバムを作ったのではないだろうか。Goldenboyは、この少女の理解者の振りをしながら、相手を操縦している。この時期特有の少女の歪んだ可愛さを、ポップなビートに乗せる事によって、メディアの繰り返す、セクシーで子供っぽい女の子=消費可能なプロダクトにかえたのだ。

 無垢な魂の存在は究極のヒーリングだ。もう持ってはいないけど、忘れる事ができないもの。忘れないように、すがっているもの。まだ持っていることに、罪悪感を覚えるもの。「かわいい」という形容詞に代表されるような、世の中の壊れやすく、未熟で、誘惑的であるものは、自分が存在しつづけるかぎり依存していく対象であり、 そして時には自分の中の悪をうつす鏡でもありうる。しかし、こうして私達の「弱さ」は、その内側から「強さ」を生み出していくのだ。


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