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R&B新時代の到来を感じさせる、アリシア・キーズのファーストアルバム"songs in A minor"。迫力あるヴォーカルと華麗なピアノのコンビネーションは、圧巻だ。弱冠20歳にして、グラミー賞の最優秀新人賞を含む5部門に輝き、現代のロバータ・フラックとも称されるキーズは、時代が待ち望んだR&Bディーヴァといえる。
このアルバムは、R&Bファンでなくとも必携の、珠玉の一枚。イントロの"Piano & I"は、キーズの音楽との出会いが運命的なものであったことを思わせる。哀しみを誘うような、ブルース・ゴスペル調の"Fallin'"は、ファーストシングルとなり、チャートのNo.1に躍り出た。セカンドシングルの"A Woman's Worth"、そしてサードシングルとなった、プリンスのカヴァー"How Come You Don't Call Me"以外にも、ヒップホップ調の"Girlfriend"(ジャーメン・デュプリとのコラボ)や"Jane Doe"、そしてR&Bスタンダードといえる"Why Do I Feel So Sad"など、幅広い方向性が試されてる。
キーズの魅力は、果敢さと柔やかさの絶妙なバランスにあると思う。彼女の歌声は聴く者を昇らせたり沈めたり、スリリングにR&Bの神髄を堪能させる。ソウル、R&Bばかりでなく、クラシック、ジャズにも造詣が深いキーズの、ソングライティング、構成力も傑出していて、まさに才能に選ばれた名器といったところだろう。
また、"songs in A minor"は、暗がりで聴くような、ステージヴォーカルの雰囲気を失っていない。コンテンポラリーR&Bの流れる、マンハッタンのスラム街で育った彼女が、その音楽性をクラシックサウンドと結びつけて純化し、ジャンルを越えたファンを作ったということは、現代に比して象徴的で興味深い。そんなキーズは、ソウル、R&B界の新グルーヴ、メイシー・グレイ、アンジー・ストーンやディアンジェロらとも一線を画している。彼女の歌声は、ストレートでいて感情豊かで、聴く者の心のなかで光沢を放つ。何もかも忘れて音楽に浸りたいとき、是非聴いてほしい。
ファーストアルバムによって、一躍トップディーヴァの座に昇ったアリシア・キーズは、そのブラックビューティーな側面でも注目を集めている。"songs in A minor"が、いわば彼女の等身大を表しているのなら、今後、彼女がどのような音楽を発信し、音楽界の布置を変えていくのかはとても楽しみだが、しばらくはこの名盤の余韻に浸っていたい。
reviewed by Natsuka.
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