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去年の5月に初めて彼らのライヴを目撃し、その音の爆発を体に浴びてから約1年。その時から、「確信」と「希望」を自分の胸に刻みこんでいたバンド、The cooper temple clauseの待望の1stアルバムがやっと届いた。
彼らがバンドを結成したきっかけは、音楽が好きでたまらない、という音楽への熱い愛情、そしてここ数年のミュージックシーンに自分達の聴きたい音楽が存在しなかった、という失望感からきているという。納得できる。"自分達の聴きたい音楽が存在しなかった。"
ってそうだろう。だってこんな音、聴いたことない!? 彼らの世代、若さ、そして音楽への愛情があてこのバケモノアルバムが作れてしまったんだろう、と思う。TCTCの曲がいくらLed Zeppelinから影響うけていたとしても、Zeppelinの時代にはこれほどのモダンなエレクトリックノイズは融合できなかっただろうし、音楽シーンに対してのフラストレーションだって、"今"だから表現する結果になったのだろう。そして彼らの世代だから成すことのできるアドヴァンテージ。60年代から今の時代までのいい部分だけをCut and keep。それに自分達のエッセンスを融合する技。そこから生まれたこの作品。
アルバムは、"Did you miss me?"、キラキラしたベル音のアルペジオから始まる。Massive Attackの"Coma Coma"を連想させるような落ち着いたリズムで曲は進行する。そこから彼らの特長でもある濃厚なエレクトリックノイズがうまいつなぎ目の役割をして、曲ががらっと変わる。ただ、この「つなぎ目」が、色でいうなら無色透明で、全く違和感を感じさせないので、いつのまにかあの落ち着いたリズムがPrimalsのSwastika Eyesのような「どこまでも直進リズム」に変わっている、といった感じなのだ。この「うまくのり付けして一つのラインを生み出す」技はすごいと思う。これは曲と曲の間にも有効に使われていて、一つのラインを生み出すという意味で、このアルバムにとって重要な役割と果たしていると思う。スキップボタンを決して押したくないような、一つの流れを止めたくない、というような感覚を起こしてしまうのだ。
Primals" Exterminator"の中のホーンを思い起こさせる冒頭が印象的な4曲目のWho Needs Enemies。" PortisheadをカバーするOasisのようだ。"というわけのわからない比喩表現まで飛び出してしまうような曲である。このMatureでJazzyな音作りははっきり言って20代前半そこそこが作った音には聴こえない。Benの迫力ヴォーカルでそれを思い返す、といった感じだ。最後の最後にはジミヘンまで連想させてしまう展開まで用意されているんだから!
そしてロックバンドが作ったとは思えない、ギター、ヴォーカルなしの完全打ち込みソング、555-4823。Aphex TwinやSquarepusherを思わせるダークでリズムのきいたエレクトリックサウンドだ。こういう系の曲さえも完璧に音作りしてしまう彼らにはもう脱帽だ。
アルバムを流し始めてから、最初から最後まで驚きの連続だった。期待と想像をはるかに超えていた。彼らの音作り、音の仕上げ方、工夫、全てにおいて驚きだった。そして、その嬉しいSurpriseは実は日本のファン達にも用意されている。フロントマンBenの、「Fuji Rockは去年、僕らにとって最高のハイライトだったんだ。」という発言を裏付けることのできるアートワークがアルバムの歌詞カードの中に見てとれる。思わず笑顔がこぼれてしまった。
reviewed by eri.
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