Alec Empire

Alec Empire

"Intelligence and Sacrifice"
(UK import)



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Alec Empire

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 1曲目「Path Of Destructiooooooooooooooooon!!!!!!!」という絶叫部分が、何故か大阪弁の怒声に聞こえる。

「しっかりせんかい、ヴォケエェェ−−−−−−−−ッッ!」

 お決まり「Destroooooooooooy!」も「ヌルいんじゃぁあ、ワレェェェ!」と聞こえる。こんな調子で、横山やすしがご乱心...というのがCDをかけてすぐの印象。インテリジェンスあんどサクリファイスあーんどヤッサン。

 ワンツゥスリーフォー!!ではじまる曲があるから...っつーわけでもないが、ロックっぽい曲が多い。今どき1、2、3、4ではじまる曲って結構貴重?でもアレックの歌ってATRもだけど、そういう、かけ声みたいなものが多い。その方が勢いが出るから?

 フジロックでのパフォーマンスを見た時に、既に「なんかロックだ」と思った人は多いと思う。ATRの時はわからなかったが、ソロで聴く彼の声というのは、納豆のようにネバネバと糸を引いて絡み付いてくるような感じがする。体温が感じられる。非常に有機的な声だ。一本調子のズドドドドリズムに、あるよーなナイよーなメロディ。だけど、この声があるからこそ曲に抑揚がついて、表現が拡がりをもって聞こえるのではないだろうか。

 アレック・エンパイアと言えば、ナルシストくんでもある。ステージでのパフォーマンスをちょっと見ただけですぐわかる。ちょっとクネクネした動きにもナルな部分が。ナルな彼は自分の名前を曲に入れる。TEAR IT OUT REMIXの冒頭でいきなり自分の名前。ゆうか?普通(苦笑)。でも許す。ナルなところも彼の魅力のひとつだから。

 CD1最後に収録されている曲"NEW WORLD ORDER"この曲はとてもキャッチーで聴きやすい。繰り返されるNew world ordeというフレーズがずっと耳に残る。ちなみに、アレックはNew world orderという言葉をネガティブな意味で使っているという。ドイツでは古くからこの言葉はすべてを完璧にコントロールされ、自由のまったくない社会を連想させるものだという。New world order、日本盤では「新世界秩序」という風に訳されている。

 CD1の魅力は、曲がどれも聴きやすい...というか、掴まれやすい感じ。しかし、私個人としてはCD2がまた更にALECの魅力を大幅に増している気がする。特に1曲目は、なんと30分近くある。圧巻...っつか好き勝手やってるなぁ?私はこのアルバムをヘッドフォンで聴いた。以前、NINの曲を大音響で聴いて隣人に警告されたことがあるので...ああ不便。だけどヘッドフォンで聴くのって結構悪く無い。RadhioheadやAphex twinなんかも私は大抵ヘッドフォンで聴く。その方がよりダイレクトに脳に届く気がするのと、気のせいかもしれないけど、外の音から隔離されることで聞こえる音があるような気がするのだ。 特に"2641998"この曲のうねりが外耳から、おのうみそにぢゅるぢゅるっと入ってくる感覚、それがなんとも言えない快感だった。脳に沈澱していた日々の澱のよーなモンがデストロイされいてくような感覚。あ、デストロイってこういうこと?

 余談だが、先日ベロベロに酔っぱらって、また聴いた。凄かった。浮遊している身体がこのCD2を聴いてるうちにだんだん透明になっていくのである。ああ、なんとも清々しく晴れやかな気持ち。ただ、フワフワになった後にゲロル危険性大。まさに天国から地獄へ。なのでお薦めはしないけど。

 CD2の静寂な中にとぐろを巻いてるアグレッシブな感情が、再びCD1へと戻ることでバクハツ!静と同のあやういバランス、そう、これが永遠のデストロイヤー(藁)アレックエンパイアの魅力。CD1→CD2→CD1を一つのタームとして聴くことをお薦め。魅力倍増しますことよ。

 さて何故かはわからぬが、このアルバム、とてもアーティストを身近に感じることができる。もちろんアルバムを一聴したくらいでアーティストのひととなりがわかるわけではないが、音楽という非常に個人的な作業をとおして、彼の核のようなものがぼんやりと浮かび上がる。当然メッセージもよりクリアに伝わる気がする。飛行機で10何時間も離れたところにいる人が掲げているメッセージというよりも、耳の、すぐ横で、直接問いかけられてるような気がする。距離が縮まった、とでもいうのかな。やはりこれも彼の声質によるものなか。

 彼のシリアスなメッセージが現実味をおびてきこえるのは、9/11、NYで未曾有のテロが起きた、ということもある。報復の空爆、炭疽菌、ほんとうに世の中は酷いことになっている。そんな中、何人かのミュージシャン達が集まってチャリティーアルバムなどが発売されている。大々的に宣伝もされている。被害者のために自分達ができることをする、というのは素晴らしい。しかし、同じ悲劇の被害者である、アフガニスタンで空爆された人達のためのチャリティーアルバムというものが音楽雑誌の広告に載っている姿は、私はまだ見たことがない。


reviewed by mimi.
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