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朝霧は素晴らしい体験やった。ロケーションやオフビートな空気、日曜のブランチ
に料理したトマトソースのパスタの味もそうやけど、そんななか、ステージを見つめ
ながら、ふと素直な疑問が心の片隅にもたげてきた。
「音楽って、一体なんやろう?」
ちょうどぼくの目の前ではギタリストが演奏していた。ロックの象徴ともいうべきエレキギターなんて、不思議な楽器や。弦の共鳴を電気的に増幅しているだけのことやけど、なんでそこに、こんなにパッションを詰め込めるんかわからへん。ベースにしろそうで、たんに単音を刻むだけ。ドラムやパーカッションはわかりやすいな。とてもプリミティヴな楽器。叩けば、リズムが生まれる。
BANDA BASSOTTIのこの、ローマでのライヴを収めた2枚組のアルバムもそうな
のだ。同じ疑問がもたげてくる。最初に聴いた印象は「カルチョの国のロックバンド」。観客が、ちょうどセリエAのスタジアムに居るかのような大合唱で応じている。ショウがまるで悲喜交々のドラマで、思いっきりそれに感情移入しているかのよう。ラテン気質というか、これにはちょっとニヤッとさせられる。
メロコア〜スカパンクをベースにした音を聞かせてくれるイタリアのバンド、一言で言うとそうなんかもしらんけど、ジャンルがどうこうって以前に、とてもテンションが高くプリミティヴな演奏を、まさにぶつけてくれる。イタリア語なんてチンプンカンプンやけど、"Ska Against Racism"なんて曲があるように、そういう姿勢をもつバンドなんやろう。
それを「ポジティヴ」と言うか「政治的」と言うかは人次第。詳しくはFrom Editerで書かれているんでここでは省くが、彼らが、音楽というこの不思議な生き物(ぼくには「生き物」と思えてならへん。すべての音楽が「生きて」いるかどうかは別にして)を通して伝えてくるのは、音楽とともに生きること(しかも情熱をもって)、一つの姿勢かもしれない。そしてそれが、朝霧で感じた疑問の、形容しがたい答の一つなんかもという気がする。
とにかく、ぼくがこのアルバムに「プリミティヴ」な魅力を感じるのは、そんな音楽への接し方を彼らが示してくれているから。From Editerでhanasanが「イタリアのクラッシュともいうべき」と紹介しているのが充分うなずける。オペラのような、セリエAのようなスケールの、リズムとパッションが目一杯詰まったこのアルバム。セットの終盤に、今年のフジをこれまた素晴らしい演奏で締め括ってくれたフェルミン・ムグルサがゲストで登場するおまけ付き、ときたら、あなたもたぶんニヤリとするんじゃないかな。
世界は広いわ。
reviewed by ken.
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