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このアルバムについて初めて私の口から出た言葉は「新曲、あまりよくない。」だった。リズムトラックばかりが耳に残ってしまってメロデイーが強調されていない気がした。でも「あまりよくない。」という私の表現は間違っていた、と今すごく思う。なぜならこの『KID A』はそんな表現をされてしまえないアルバムだし、何よりも自分の中で混乱しまくっていて、まだこんな判断をこのアルバムに対してしてはいけない時期だったからだ。ただ、この頃の私の「間違った判断」を同じようにしていたのが12月末、いきなりの廃刊となった(らしい)Melody Maker紙だった。彼らはこのアルバムに星2つしか与えなかった。
ただ覚えているのは、私はこのアルバムの中のRadioheadに洗脳されていくだろう、と思った事だ。『OK Computer』の時を同じような感覚。私はその曲達に飲み込まれていくだろう、と。私はその時点で本当はわかっていたに違いない。このアルバムが、いいか悪いかの問題じゃないって。そんな表面的なことなんかじゃないって。
『KID A』を聴き続けて、今のところ約3ヶ月というところか。あのアルバムを聴き始めた時の混乱さはなくなった。だんだん見えてきたような気がするが、この感情を表現する言葉がうまく見つからない。徹底的に無機質で感情のかけらも表現されていない、それなのになぜ私はこんなにも鳥肌がたってしまうんだろう。感動じゃない、感激じゃないのに。最もうまくこの気持ちを表現するとしたら、それはBjorkの「All Is Full Of Love」のVideo Clipを見た時と同じ感覚。感動じゃないのにそれに似た感覚が私を襲う。
『KID A』 はまさしくフューチャーサウンド。ただ、私達の未来をあまりにも残酷に、あまりにもリアルに予測してしまったのではないか? 希望も残されていない。『OK Computer』時の彼らのB面の曲達には感情があった。しかも、温かく、そこに黄色い光を帯びていた、そんな印象があった。私はそこから進むのだと思っていた。ところが『KID A』はそれから正反対、真裏の世界を映し出していた。一体どうやったらこうなるんだろう?
私はこのアルバムを判断することはできない。自分の中で、このアルバムを分解できていないし、このアルバムを聴いた私の感情をうまく表現できる言葉さえ見つけられてない。それに私はこのアルバムからトムヨークのメッセージを見つけられていない。前回までのアルバムには、はっきりした形でトムの、私達「人間」に対してのメッセージがあった。それはこのアルバムの中にはないのか? それとも私がまだ見つけられていないだけなのだろうか? Radioheadはとてつもない課題を私にぶつけてくれた。次のアルバムリリースまでに探しだすことができるのだろうか。
reviewed by 高橋絵里.
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