|
全力でブラフマンが向かってくる。だから、全力で答えなければ負けてしまう。そんなライヴだった。 ステージと客席の間にはまるで火花が散っているかのようで、そこにはブラフマンという生き物と、客という生き物の戦いがあった。 彼らの伝えようとしているものは何だろう?彼らの音に潜む熱いものは何だろう?客はその答えを探すように、宙に手を差し伸べあるいは、前へ前へと体ごと飛び込びこんだ。 私もまた、答えを探すため全力でぶつかった。そうしないと飲み込まれてしまいそうなほど激しく熱いものだった。 けれど、曲が終わるごとに会場は静けさに包まれた。静寂、ではない。ピンと張り詰めたような静けさだ。新潟の外は息が白くなる程寒いというのに、みんな風呂上がりみたいな姿をしている。Tシャツが重い。他人の息遣いが聞こえてくる。しかし、目はステージを離さない。みんな飢えた狼のような目でステージを見つめている。早く次の音を、次の戦いを。目がそう言っていた。ブラフマンを呼ぶ声がうなりに聞こえた。私はその静けさが心地よかった。神秘的にすら思える瞬間に酔った。 TOSHILOWが戦いを挑んでくる。頭を振りかざし、殴り付けるように歌う。なんて気持ち良さそうに歌う人だろう。『ANSWER FOR....』の時だっただろうか。私は激しいものの中に優しさを感じた。ブラフマンは曲を、音楽を知っている。本当にカッコイイものとは何かを、この人達は知っているんだ。そう思えた。 私は様々なバンドのライヴを見てきた。その中で、ブラフマンはどれらとも違った。自分達の音楽を全力で客にぶつけるのみだった。だからこそ、彼らの曲を聞かざるを得なくなる。向かってくる彼らの魂に対して、客もまた魂ごとぶつけていくしかない。 そんな魂の戦いといったライヴがあることを久しぶりに思い出した。 あっという間にライヴが終り、外に出てみると鬼のように寒かった。Tシャツが氷のように張り付いてくる。会場から出てくる人の顔は、どれも酔いから覚めたようだった。けれどみんな笑っている。もちろん、私も笑っていた。また次も来たいなあ、と思った。 Reported by 宮下恵 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 宮下恵. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |